ライブドアの元社長・堀江貴文氏は、新たにスタートしたサロンや新雑誌についてこう説明する。
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堀江貴文サロンというものを作ってみた。毎月1万800円で勉強会、講演会、交流会などをするサロンだ。プラットフォームにはフェイスブックを用いている。
受動的に何かが与えられるのではなく、参加者が様々な活動に積極的に絡むことが求められるサロンだ。8月9日に西麻布でバーベキュー大会をやったが、100人近くが参加して、事業系のグループからサークル的な活動まで、いろいろなつながりが生まれていた。
これまでこういったつながりは地域ベースや会社ベースに限定されていたように思う。例えば青年会議所とかライオンズクラブ的な会合である。確かに大前研一さんのアタッカーズ・ビジネススクールのように衛星放送チャネルなどを利用した先進的な仕組みはあるにはあったが、フェイスブックを利用することによって、それがかなり手軽になった印象はある。
私のサロンはモバキッズという会社が運用するシステム「シナプス」を使っていて、オンラインサロンの運営は彼らに全部委託している。私たちは企画運営に徹することができて、あまり負担がないのもいいところだ。実際にこのサロンから新規事業やイベントが立ち上がろうとする動きがある。
またグループには法人営業が得意な独立系企業の経営者も参加していたりするので、新規の商材を彼らが売ることも可能だろう。まさにバーチャルな会社組織。これまで会社の名刺を持っていることが権威であり、それが安定感につながっている側面があったが、サロンのメンバーという権威が確立すれば起業することも容易になるかもしれない。スマートフォン、モバイルインターネットの普及はこれまでの会社組織のあり方を変えつつあるのではないだろうか。
このような動きは当然のことながらメディア・出版業界にも波及してくる。例えば出版エージェントのコルクと投資会社のミュージックセキュリティーズが組成した新人漫画家を応援する小口投資可能なファンドなんかがその動きの典型である。これまで出版社が担っていた新人への投資機能をファンが担えるようになっているのだ。あるいは、KDP(Kindle Direct Publishing)を利用して作家同士が作品を出し合って作る電子雑誌などの動きもある。オンラインでコラボレーションして、時々会合などで出会えれば、それが可能なのである。
私が代表を務めるマンガの書評サイト「マンガHONZ」も同様である。1カ月に一度の夜会を開催して、大体の方針を決めつつ当初は各人のアフィリエイト収入程度でボランティア参加。収益が出てきたら夜会くらいは無料参加とするのが当初の目標だが、そのうち事業化できるだろう。
さて、私が責任編集長を務める新雑誌の名前は「xReality」に決まった。これまでに書いてきたことを反映した雑誌になるはずだ。これ以上書くとネタバレになるので、全貌はぜひ、雑誌を手にとって実感してほしい。発売は10月下旬の予定です。
※週刊朝日 2014年8月29日号