笹井氏は最期まで、STAP細胞の存在を信じていたのだ。この日、小保方氏はSTAP細胞の再現実験のため、CDBに出勤していた。訃報に接した小保方氏は絶句して涙をこぼし、何も話すことができない様子だったという。
竹市センター長によると、笹井氏は10日ほど前から見た目にも体調が悪い様子だったという。
「研究室のスタッフから、会話がほとんどできない状態でケアする必要があると聞いていました。思い悩んで自殺してもおかしくない、そういう状態でした。すぐご家族と連絡を取り、治療するようにすすめていました。それでも責任感が強く研究室に通っておられ、(自殺の)前日の4日、(医師の)お兄様から、治療を受けていると連絡がありました」
騒動発覚後の3月に体調を崩して、心療内科を受診し、約1カ月間、入院していた笹井氏。その時点で副センター長を辞任したいと申し出ていたという。だが、「懲戒委員会が続いているし、STAP問題がクリアになるまで、もう少し我慢してほしいと思い、辞表を受け取るに至らなかった」(竹市センター長)。
遺族のコメントでは、理研に対して「皆様の動揺を思うと胸がつぶれるほどつらいです」などの心情もつづられていた。
(本誌・上田耕司、今西憲之、牧野めぐみ、小泉耕平、横山健、福田雄一)
※週刊朝日 2014年8月22日号に加筆