週刊朝日の長友佐波子編集長が、フロントランナーの女性にインタビューする連載企画「佐波子編集長のフロントランナー女子会」。今回は今春、資生堂の執行役員常務に就任した関根近子氏に話を聞いた。
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関根:私の担当は主に美容領域なので、やはりビューティーコンサルタント(以降BC)のスキル、知識を高めることはもちろん、一生涯付き合いたいと思われる「人間力」のあるBCを育てることが一番の仕事ですね。資生堂がもっと成長することはお客様の信頼なくしてはありえない。そのためには店頭で応対するBCの力がとっても重要なんです。
長友:今はネットで買ったりと販売形態も変わっていますが、改めてカウンセリング販売の存在感が高まっている?
関根:海外は特にデパート中心ですし、日本でもこういう時代だからこそ、温もりのある、心に響く接客が求められると思います。資生堂の強みは何だろうと考えたとき、やっぱりきめ細やかでかゆいところに手が届く「おもてなし」の応対だろうと。海外事業部に異動したとき、「SHISEIDO BC OMOTENASHI CREDO(おもてなしクレド)」という行動指針を作って26言語に訳して配布しました。これは、単なる接客マニュアルではなく、お客様に心から満足いただけるように、科学的根拠に基づいて作成したものです。
長友:今、何カ国で事業展開しているんですか。
関根:89の国と地域で、BCは約2万2500人です。
長友:そんなに! 海外事業部って英語が必須だと思いますが、もともと英語は話せたんですか?
関根:まさか! 山形には外国人も少ないし、そんな機会ないですから(笑)。異動になったとき、すぐにマンツーマンで先生を頼んで猛勉強しました。海外で会議があるときはブロークンでも積極的に交流していますよ。
長友:やっぱりバイタリティーありますよね~。
関根:皆に言っているのは、億劫がらずに新しいことに挑戦しなさいって。今年はBCが誕生して80周年。化粧が一般的でなかった時代に「良家の子女求む」と募って数百名の中から選ばれた9名の「ミス・シセイドウ」が元祖で、きっと皆さんチャレンジ精神が旺盛だったことでしょう。憧れの存在であり、外面も内面も美の体現者であった。
長友:美の伝道師であり、美の体現者でもあると。関根さんみたいなステキな常務がいたら、女性社員はやる気が出るでしょうね。
関根:「いつかは自分も」と目指してもらえるようにと、意識しています。大変なことも多いけど、眉間にシワを寄せていたんじゃ、ああなりたくないと思われるでしょ? 次に続く後輩たちのためにも頑張らないとね。
※週刊朝日 2014年7月11日号より抜粋