松坂桃李の名前は、中国の『史記』にある「桃李不言下自成践(とうりものいわざれどもしたおのずからみちをなす)」からつけられた。自然と人が集まってくる徳のある人物に、という思いがこめられているが、昔は嫌いだった。
「字が女の子っぽかったので……。今の仕事をしてから、下の名前で呼ばれることが多くて、ありがたみを感じます。この名に恥じぬ仕事をやっていきたいですね」
公開中の映画「万能鑑定士Q」では、ちょっと冴えない記者・小笠原を演じた。
「プロデューサーや監督が、僕に近い役なんじゃないかっておっしゃるんですけど。その一生懸命さに共感しましたが、そこまでどんくさいかなあって(笑)」
彼自身の評判は常に「謙虚」で「好青年」。モテ男も演じたが、「いきなり女性の肩を抱くなんてできないですよ」と苦笑い。多忙の中、仕事をする上で切り替えが大事だと実感しているけれど、「性格上、難しいですよね」
真剣に、困ったように呟(つぶや)く。その姿も、人々を引き寄せるのでしょうね。
※週刊朝日 2014年6月13日号