「秒速で1億円稼ぐ男」としてメディアをにぎわせた実業家の与沢翼氏(31)が、大ピンチに追い込まれた。
与沢氏は、アフィリエイトを利用したネットビジネスや金もうけの方法を指南する「情報商材」の販売で成功。テレビ番組の企画では現金1億円を入れたトランクから札束を取り出し、超高級腕時計を即決で購入するなど、リッチな生きざまを喧伝する「ネオヒルズ族」の代表格だった。
だが4月26日、自身が経営するフリーエージェントスタイルホールディングス社の資金繰りがショートしたことをブログで告白。「お金持ちのふりをする必要がなくなった」などと書いたことが話題となった。
いったい何が起きたのか。本人を直撃した。
「始まりは2013年8月期の法人税が支払えなくなったことです。実務を現場に任せきりだったので、税額を把握できていませんでした。さらにその後、入金の代行を依頼していたカード決済会社が倒産してしまった。すべてはずさんな経営をした私の責任です」
とはいえ、突然のカード決済会社の倒産には不可解な点も残る。与沢氏は「自分たちの売り上げがなぜ消えてしまったのか、カード決済会社の元経営者とは争っていくつもり」と語る。
与沢氏と親しい会社経営者が言う。
「ここ1年間、与沢さんの周りから近しい人間が離れていきました。与沢さんは何者かによってはしごを外された可能性もあります」
情報商材ビジネスは、一獲千金を狙う人間が集まる、生き馬の目を抜く世界だ。
「誰かにハメられたとは思っていない。偶然、悪いことが続いたのでしょう。いまは税金の滞納分を支払って、会社の存続に全力を注ぐだけです」(与沢氏)
総額1億5千万円をかけたという265坪の六本木のオフィスからは撤退。フェラーリ、ベントレー、ロールスロイスも売却した。今後はどうしていくのか。
「人をだましてきたとは思っていませんが、金持ちを演じ続けるビジネスモデルは限界を迎えていました。次は自家用ジェットでも買わないとインパクトがないところまできていましたから。今後は政府と一緒に仕事ができるような、まっとうな商材を開発したい。それが無理なら、たとえばガンジーのような思想家になって、社会を変革したい」
どこまで本気なのかは判然としないが、その挙動が今後も気になる存在だ
※週刊朝日 2014年5月23日号