山口県の岩国基地に駐機していたオスプレイ12機が10月1日、普天間基地へ配備された。当然のことながら、沖縄県では反対運動が起きている。ジャーナリストの田原総一郎氏はその運動の本質をこう指摘する。
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仲井真弘多知事は、「県民の不安が払拭(ふっしょく)されないまま強行する手法は、どう考えてもおかしい。自分の頭に落ちてくる可能性があるものを、だれがわかりましたと言えますか」と憤っている。
非難されることを覚悟の上ではっきり書く。沖縄県民は、実は事故の危険性のあるオスプレイの配備に憤っているのではない。世界で最も危険な普天間基地の移設に、民主党の歴代首相が何の努力もせず、口先だけで言いつくろっていることに怒っているのだ。
自民党政権時代、仲井真知事も移設先予定地の名護市長も、一度は辺野古への移設を了解した。それが2009年、当時の鳩山由紀夫首相が「普天間基地は最低でも県外に移す」と言い切ったものの、結局、辺野古移設を再び決めてしまった。
それだけではない。怒った沖縄県民が絶対に認めない辺野古移設を、鳩山氏の後を継いだ菅直人前首相、野田佳彦首相も軽々しく口にしている。それでいて、何の努力もしていない。
民主党政権になって、沖縄に住み着いている沖縄担当相や党幹部が一人でもいるのか。
それに、そもそも自民党時代に移設先を辺野古に決めたのは、オスプレイが配備されることが決まっていたからだ。世界一危険な飛行場にオスプレイなど配備したら、大変な事故が起きる可能性がある。だからこそ、辺野古移設を決め、滑走路もわざわざV字形にするとしたのだ。
※週刊朝日 2012年10月19日号