「2004年の球界再編問題、そして2011年の東日本大震災時の対応を誤ったことで世間のイメージが大幅にダウンしました。球団経営も以前のように順調というわけでもない。情報があふれ、他の娯楽も充実する昨今、野球や巨人が絶対的な国民的娯楽ではなくなった。今回の対応を間違えると、取り返しがつかなくなるという悲壮感すら伝わってきます」

 球界再編騒動時には、渡辺恒雄オーナー(当時)が選手会とのやり取りの中で「分をわきまえないといかんよ、たかが選手が」と発言し、大騒動になった。東日本大震災発生時にはパ・リーグや選手会が開幕延期を訴えたのに対し、セ・リーグは最後まで予定通りの3月25日開幕にこだわった(最終的にセパ同時の4月12日開幕)。その中心となったのが巨人であり、渡辺球団会長(当時)の「セはやらない理由がない。パ・リーグが延期するなら勝手にすればいい」という発言がまたもや物議を醸した。

「当時の巨人への風当たりは想像以上の激しさでした。野球ファンのみならず、世間を巻き込んだ『アンチ・ナベツネ』もあった」(前出の巨人担当記者)

 近年は野球人口の減少が指摘され、野球人気も衰退が叫ばれる中、巨人もかつてほどのブランド力はない。今回の新型コロナウイルス蔓延問題への対応を間違えば、大きな痛手を被ることになりかねない。

「今回の問題が起きてから、球団内に対策チームが作られ、そこにはPR戦略部門もあるという噂です。公式戦開幕までNPB全体を牽引する姿を見せれば、平常に戻った際には世論を味方につけることができる。巨人人気復活の大チャンスなのです」

 長年、巨人を追いかけているライターがそう語るように、未曾有の危機のなかで先導者の役割を果たそうとしている。9日の12球団代表者会議で開幕戦の延期は決まったが、この難局を乗り切れば巨人のイメージは大きくアップする。

 プロ野球草創期から巨人の影響力は大きい。思惑は様々あるだろうが、今回の国難を乗り越えるために大きな力を発揮して欲しい。今こそ巨人の力に期待したい。

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