なんと(2019年の時点で)東大合格者数2位の学校に合格した児童でさえ、某有名塾の課題は不必要に多すぎだったのだとか。TESTEAの講師は東大卒でも不採用になるほど厳選し、うまく教えられるように研修もするそうです。
■塾は合格に必要な勉強と不要な勉強を児童と考える場所
「塾は、勉強を教えるのはもちろんですが、志望校に合格するために何が必要で逆に何をやらなくていいか、勉強の仕方を児童と一緒に考える場所でもあります。特に、コレはやらなくていいと切り捨てる作業は、大人でも勇気がいる難しいことです」
実際、実用書では「結果を出すには行動の優先順位を決めることが重要」という文言をひんぱんに目にします。大手である武田塾も、「授業をしない塾」という塾の概念を飛び越えたキャッチコピーをうたい、勉強ではなく「合格のためにやるべきことを教える」というシステムをとっています。
小学生という早い時期から「優先順位を決めて取捨選択するやり方」を意識することができたら、その後、将来もずっと活用できるので勉強面でかなり有利になるでしょう。
繁田さんは、「中学受験の本当の価値は合否ではない」と強調しました。「不合格だったからといって、中学受験で第1志望に合格するのは5人に1人なので、ある意味当たり前の世界です。中学時代はまだ人生の序章なので、まったくネガティブに受け止めるものではありません。失敗を学ぶことは、最後に成功するためのバネになります」。
恐れるべきなのは、不合格だったときに、子どもが「ほかの子に負けた」「がんばってもいいことがない」ととらえてしまうことなのだそう。そうしたマインドセット(自分が持っている思考回路の癖のこと)をもってしまうと、その後「行動してみよう」「挑戦しよう」という意欲が湧いてきても、躊躇(ちゅうちょ)して踏み出せなくなってしまいます。
「合格でも不合格でも、親と一緒に『どこが成長したのか』を確認する作業が受験では最も大切なこと。親なら誰だって、自分の子が果たして2、3時間も机に向かって勉強できるのかと不安になったはずです。それを受験まで続けて成し遂げるのは『当たり前なこと』ではありません。長時間の勉強が可能になった(忍耐力がついた)、苦手なところを克服する努力ができた、スケジュールをたてるのがうまくなった等々、お互いが成長に気づき、子どもをほめてあげることが、次のがんばりにつながるのです」
実は、私も繁田さんもお互い受験で(ある意味しょうもないことで)苦労をした経験を持ち、そのときひねり出した「勉強法」を本として出版しています。窮地(きゅうち)に立たされ「こりゃ普通に勉強していたら受からないぞ」と思い、点数を上げるために「この勉強法で成果が出せるか?」と前提から見直し、徹底的に効率を考え、最適なものを選ぶよう勉強しました。ビジネスでいう「クリティカルシンキング」ですね。