■中日:2016年
・主な指名選手:柳裕也(1位)、京田陽太(2位)

 直近の3年間はまだ結果が出ていない選手が多いが、それ以前の指名を見ると、ことごとく上手くいっていないことがよく分かる。かろうじて成功に挙げたこの2016年も柳はまだ実質1年の活躍であり、京田もルーキーイヤーから徐々に安打数を減らしているのは気になるところだ。3位以下の石垣雅海、笠原祥太郎、藤嶋健人の今後の成長が楽しみではあるが、大成功にまで繋がるかは疑問だ。

 期待したいのはやはり直近の2年間。2018年の根尾昂、梅津晃大、勝野昌慶、石橋康太、昨年の石川昂弥、郡司裕也、岡林勇希あたりが早く将来のチームを背負って立てるようにならなければ、まだ低迷期が続く可能性は高いだろう。

■ヤクルト:2010年/2017年
・主な指名選手:山田哲人(2010年1位)、村上宗隆(2017年1位)

 今回の企画で、12球団で最も難しかったのがヤクルトだ。2012年の石山泰稚、小川泰弘の二人は成功と言えば成功だが、太い柱になれているかと言えば大いに疑問が残る。2014年にいたっては、2位の風張蓮以外、全員が既に退団しているという散々な状況だ。そんな中で希望の光となっているのが山田と村上の二人。しかし山田の同期である2010年の指名選手も、山田以外はそこまで戦力になっていない。

 また山田は抽選を二度外した後の指名で、村上も清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム1位)の外れ1位であることを考えると、ラッキーパンチという感は否めない。昨年は奥川恭伸など投手の好素材を多く指名しただけに、彼らを何とか早く一軍戦力にしたいところだ。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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