この記事の写真をすべて見る
人生はみずからの手で切りひらける。そして、つらいことは手放せる。美容部員からコーセー初の女性取締役に抜擢され、84歳の現在も現役経営者として活躍し続ける伝説のヘア&メイクアップアーティスト・小林照子さんの著書『人生は、「手」で変わる。』からの本連載。第6回は、つい他人と自分を比べてしまう人へのメッセージ。
* * *
自分と他人をくらべて、「自分のほうが上だ」「自分の人生のほうが輝いている」としきりに言いたがるひとがいます。
「◯◯さんのインスタのフォロワーは◯人らしいけれど、私のインスタのフォロワーはいま◯万人」
「◯◯さんと同じタワーマンションに住んでいるのだけれど、うちのほうが上層階」
「◯◯さんは40代後半でやっと○○部長になれたけれど、私は40代前半で◯◯部長になれた」
自分の近況を話すのは、いいですよ。でもいちいち他人を引き合いに出したり、そこでわざわざ競争するほどのことでもないのに「自分が勝っている」と言いたがるのは、満たされていない不安な人生を自分から露呈しているようなものです。
「ひとの人生は、ひとの人生」
「自分の人生は、自分の人生」
そう思えばいいではないですか。
そうピシャッと割り切れば、すむ話です。それを「あのひとより自分のほうが上だ」と言わないと気がすまないのは、狭い世界しか見ていないからです。
狭い世界の中で「勝っている」「負けている」などということを気にしているひとには、そのうち「匂い」が染みついてきます。それは、視野が狭くて器が小さい人間の持つ「小物臭(こものしゅう)」です。
小物臭が漂うようになると、知らず知らずのうちに目つきも悪くなります。自分が優位に立とうとして、他人のマイナスポイントばかり探す目が習慣化されてくるからでしょうね。