次に売上高はコジマの半分程度だが、同程度の純利益を出しているAHB。同社では小売店における一般的な相場からまず販売価格を想定し、そのうえで仕入価格を検討していくという。
同社の岡田寛CA事業本部長は、「経済動物ですから、世間の相場や人気犬種ランキングを参考にしたうえで、JKC(ジャパンケネルクラブ)が決めているスタンダード(犬種標準)に近いもの、人気のある毛色のものほど、想定販売価格が高くなります。そのうえで初期の値入率を70~80%で想定します。店頭で売れて初めて粗利がでるわけですが、当初の想定との乖離がだいたい10%はあります」と話す。
最後にペッツファーストの場合、商品管理の観点から「売れ筋」を分析し、店頭に並べる子犬をトイプードルなど一部の犬種に厳選しているという。別の機会に正宗伸麻社長に取材したところによると、
「同業他社の中には『いろどり』が必要だと言って、様々な犬種をそろえようとするところがあります。でも本来は、売れ筋の犬種を見極めていかないといけない。そのうえで、誰が見てもかわいい子、健康状態の良い子を仕入れるようにしています。そして薄利多売はしない。つまり丁寧に管理した付加価値の高い子を、それなりの価格で売る、ということです。だから1頭100万円以上するような子犬も、週に1、2頭は売れます。『ペッツファーストの犬は高い』と言われることもありますが、安く売る気はないんです。命ある犬や猫が安く買えることは、決していいことではないと思っています。価格を率先して上げていくことで、ブリーダーの利益が増えれば、繁殖環境の改善につながるとも考えています。結果として5、6年前と比べると1頭あたりの利益率が倍くらいにはなっています」
■大量生産・大量販売を可能にした「競り市」
仕入れ価格と販売価格の考え方に違いがあるのに加え、実はこの3社では、仕入れ方法にも違いがある。競り市への依存度が違うのだ。
それぞれの仕入れ方法について記す前に、競り市について解説しておく。
業界では競り市を、以前は「ペットオークション」と呼んでいたが、最近では、「オークション」という響きを嫌ってか「ペットパーク」と呼ぶようになっている。なお業界関係者同士の会話の中では単に「市場(いちば)」や「市(いち)」と呼ぶことが多いようだ。