キャッシュレス決済とひと口にいっても、さまざまなサービスがあります。現在発売中の週刊朝日MOOK『定年後のお金と暮らし』では、消費生活ジャーナリストの岩田昭男さん監修のもと、キャッシュレスを大特集。まずは、今キャッシュレスが話題になっている理由を含め、キャッシュレス決済の概要、メリットとデメリットを押さえておきましょう。
【表】2015年は韓国がトップ!国ごとのキャッシュレス決済比率はこちら」
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最近何かと話題のキャッシュレス決済ですが、「キャッシュレス」と聞くだけで「10%、8%、5%、2%といろいろありすぎて、よくわからない!」と混乱して、拒否反応を起こす人も少なくありません。
この混乱の原因の一つは「消費税の軽減税率制度」(以下「軽減税率制度」)と「キャッシュレス・ポイント還元事業」(以下「ポイント還元事業」)を混同しているためではないでしょうか。まず両者の違いを説明しましょう(図表1)。
2019年10月1日から消費税率が10%に引き上げられたことにともない、「軽減税率制度」の適用が始まりました。これは、対象となる商品(酒類、外食を除く飲食料品と週2回以上発行される新聞)のみ、消費税率を
8%にするというものです。適用期限は定められていません。
一方、「ポイント還元事業」は、キャッシュレス決済を行うとポイントが還元されるというもので、「20年6月30日まで」と期限が定められています。
キャッシュレス決済とは、文字どおり現金以外で支払うことです。具体的には、買い物の際にクレジットカード、電子マネー、QRコード(スマートフォン<スマホ>のアプリを利用する方法)などで支払うことをいいます。
このポイント還元事業は、増税による景気への影響緩和策として導入されたものですが、同時にキャッシュレス決済の利用促進を目的としたものでもあります。日本は他の先進国に比べてキャッシュレスの普及で後れをとっています。
15年のキャッシュレス決済比率は日本の18・4%に対し、韓国89・1%、中国60%、イギリス54・9%、アメリカ45%と差が開いています。(図表2)
政府は、25年にこの比率を40%まで引き上げる目標を掲げています。