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人生はみずからの手で切りひらける。そして、つらいことは手放せる。美容部員からコーセー初の女性取締役に抜擢され、84歳の現在も現役経営者として活躍し続ける伝説のヘア&メイクアップアーティスト・小林照子さんの著書『人生は、「手」で変わる。』からの本連載。第2回、お金持ちになることへのあこがれが募っている人へのメッセージ。
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私は今まで「お金持ちになりたい」と言って、実際にお金持ちになったひとを見たことがありません。また「どうやったら儲かりますか?」と、まず大きく儲けることから話を始めるひとで、会社を右肩上がりで成長させている経営者も一人も見たことがありません。
何の目的もなく大金が欲しいと口にするのは、小学生が「将来、王様になりたい」と言うのと同じです。お金は、そのお金が何のために必要なのか、目的がはっきりしているひとの元にしかとどまらないものなのです。
老後2000万円不足問題などもありましたから、いまは若いうちから、自分の老後のために投資を始める方も多いと聞きます。自分や家族の将来を守るのは、もちろん大切なことです。でも、お金は多く持っているに越したことはない、などということはありません。「何に使うか」が曖昧なお金は、結局はつまらないことに使ってしまうもの。そういうお金は、溶けてなくなってしまうのです。
やみくもにお金を追い求めようとするのではなく、最初にしなければならないのは、「自分はどんなふうに生きていきたいのか」を明確にイメージすることです。そして「自分の夢の実現のためにはいくら必要なのか」をある程度算出してから、お金を稼いでいくことです。その思考法でないと、まず夢は絶対に実現しませんし、お金を稼ぐといってもただがむしゃらに働いていたのでは、途中できっと息切れしてしまうでしょう。
でも私はこうも思います。
そもそもお金は、むやみやたらに追いかけてはいけない、と。たとえ大きな収入にならないようなお仕事であっても、「経験」や「人脈」が手に入るのなら、そちらを選ぶべきです。目先の収入に飛びつくと、あとで後悔することのほうが多くなります。
きちんと経験を積み上げるという努力は、必ずひとが見ています。そして必ずその努力を評価してくれるひとは現れます。そのときが待ちきれず、多くのひとが途中で努力を放り出し、「お金」のお尻を追いかけてしまいがちですが、「お金はあとから、ついてくるもの」。
そう考えることが実は一番、「成功への近道」になるのです。
【しなやかに生きる知恵】
お金はつかもうと追えば、逃げるもの
お金は努力のあとに、ついてくるもの