しかし、そんな彼女に不幸が襲う。2005年に急性骨髄性白血病と診断され緊急入院。臍帯血移植を受けて一時は退院するも2か月で再発。そのまま帰らぬ人となった。
「今年の1月にオンエアされた『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ)では知られざる闘病生活や本田さんが綴っていた日記を初公開して話題となりましたが、本当に壮絶な最期だったことがうかがい知れました。番組では、彼女の故郷である埼玉県朝霞市に昨年オープンした『本田美奈子.ミュージアム』に坂上忍さんが訪れ、当時の壮絶な闘病生活について本田さんのお母さんにインタビューを敢行。本田さんの復帰を願う福山雅治さんが『早く元気になってこの曲に歌詞をつけて歌ってほしい』と歌詞のない楽曲を唄う姿をビデオに撮って送ったという話など、涙なしには見られない秘話のオンパレードでした。ファンだけでなく同業のアーティストからも愛された、稀有な存在だったんだなと改めて思いましたね」(前出の元編集者)
TVウオッチャーの中村裕一氏は本田さんが残した功績を次のように語る。
「本田さんといえば『1986年のマリリン』を思い浮かべる人も多いと思いますが、大人びたイメージで他のアイドルとは一線を画したデビュー曲『殺意のバカンス』をはじめ、大人のムードを纏った『Temptation(誘惑)』、田村正和主演のドラマ『パパはニュースキャスター』の主題歌に使われた『Oneway Generation』、そして忌野清志郎の作曲でロックに挑戦した『あなたと、熱帯』など常にチャレンジングに、常にアグレッシブにシングル展開を繰り広げていました。しかも、どれも彼女自身の強い意志によるもの。当時、ここまで貪欲にセルフプロデュースに取り組んだアイドルはなかなか見当たりません。また、現在放送中のドラマ『同期のサクラ』で主演を務めている高畑充希が2020年5月にかつて本田さんが演じた『ミス・サイゴン』のヒロイン、キム役を演じることが決まっており、同作が新たに大きく取り上げられることになるでしょう。本田さんの功績にも改めて注目が集まることは間違いないと思います」
来年は没後15周年にあたる。彼女の歌声を懐かしみながら、彼女の人生の転機となった作品の新たな幕開けも心待ちにしたい。(藤原三星)