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「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」
発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの素朴な疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第4回の質問は「虹の『ふもと』にはけないのですか?」です。
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【Q】虹の「ふもと」には行けないのですか?
【A】虹は「鏡に映った太陽の像」のようなもの
鏡に映った人と握手しようと鏡の裏側に行っても誰もいませんよね。それと同じで、虹の「ふもと」は幻影なのです。
虹はどんなときに見えるのでしょうか。霧が出そうな早朝か雨上がりの夕刻に太陽が急に現れて日差しが強くなったとき、太陽を背にして反対側の空を見上げると、かなりの確率で虹が見えます。自分の後ろからくる日光が、自分より前方のずっと遠くにある多くの水滴に反射し、その反射した光が合わさって目に入るのです。日光は一見したところ白ですが、赤、黄、緑、青、紫といろいろな色の光が合わさって白に見えているのです。その色によって反射する角度が少しずつちがうので、赤はより外側、青はより内側と、違った位置の水滴の集まりからの光が目に届き、それが虹として見えるのです。
虹はよく半円形で描かれますが、じつは虹は完全な円形です。私もこれまで円形の虹を見たことがあります。ビルの21階で仕事中、日没前に夕立が降り急に晴れ渡ったところ、ビルの窓から低層の住宅街の上に大きな円形の虹が見えました。たまたま地面から高いところにいたので、円形の虹を見られたのです。
これは、太陽が高い位置にあると虹が出にくい理由とも関連しています。虹は太陽を背にした観察者と反対側、つまり観察者の前方に見えます。太陽の位置が高いと、虹は地面に向かって発生することになりますが、地面があると、「空中」がなくなるために水滴が存在できず、虹が出現しないのです。ですが、飛行機に乗っているなど、観察者が空中に浮いている状態ならば、下の方に見える雲に円形の虹が出ることがあるのです。ちなみに、このとき飛行機などの影が中央に位置し、虹に包まれたような幻想的な光景になることを「ブロッケン現象」と呼びます。