「同期のサクラ」(日本テレビ)に涙がちょちょぎれている。最近はたぶん涙はちょちょぎれず、涙腺が崩壊したりするらしいと承知はしているが。
高畑充希さん演じるヒロイン・北野桜の空気を読まないっぷりに、新入社員プラスαだった頃の自分を重ね、胸が痛くなる。く、くるしいと思うと、高畑さんのまっすぐな声が響いてきて、心を持っていかれる。ピュアさにしてやられる。
脚本の遊川和彦さんは、不幸好きで仕掛け好きと思う。冒頭で、人工呼吸器につながれた桜が映る。同期たちが見舞いに駆けつけ、重い脳挫傷で回復見込みは薄いと明かされる。そこから10年前(=2009年)、ゼネコンに入社した桜と同期の物語を展開させる。
見ている方は、不幸が待っているとわかっている主人公の日々を追うことになる。限りなく一生懸命な桜。
高畑さんは、憑依系の女優だと思う。私が最初に「この人、やるなー」と思ったのは、坂元裕二さん脚本の「問題のあるレストラン」(2015年、フジテレビ)だった。セクハラとかジェンダーとか、そういうものと戦う女性たちのドラマで、高畑さんが演じる藍里だけが男ウケを狙いまくっていた。そのように見えた。が、徐々にその後ろにあるものが見えてきた。
藍里が自分を語る場面が忘れられない。
「わたし、いっつも心に水着着てますよ。お尻とか触られても全然何も言わないですよ。お尻触られても何とも思わない教習所、卒業したんで。その服、男ウケ悪いよとか言われても、あーすいませーん、気をつけまーすって返せる教習所も卒業したんで。痩せろとかやらせろとか言われても笑ってごまかせる教習所も出ました。免許証、お財布にパンパンに入ってます」
ちょっと高い甘えたような声で、高畑さんはこの台詞を一気に言った。確か「ドラえもん」のしずかちゃんがなぜしばしばお風呂に入っているのか、それは得だからだと語り、そこから一気にこの台詞となったはずだ。引き込まれた。なるほど感があった。ヒロインよりも印象に残った。