お笑い芸人のパワハラ事案が最近、立て続けに報じられている。10月初旬に複数の週刊誌はお笑いコンビTKOの木下隆行(47)による後輩芸人への暴力行為を告発。8月には友近(46)も、パワハラ行為を訴える嘆願書が複数のマネジャーから所属する吉本興業に提出されたことが報じられた。さらに9月に放送された「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)では、お笑いトリオ・我が家の坪倉由幸が、同じトリオの杉山裕之(42)の酒癖の悪さが原因で解散危機になっていると明かし、過去に杉山が後輩芸人のブルゾンちえみに酔って説教をし、泣かせてしまったこともあると明かした。
お笑い界におけるパワハラに関して、かつて大手芸能プロに所属していた元芸人が自らの体験を基にこう語る。
「芸人をしていた頃はしっかり先輩方から“指導”を受けたきましたよ。師匠と弟子、兄さん姉さんという言葉があるように、芸事の世界は厳しい上下関係が今も根強くありますね。自分も『エンタメの神様』(日本テレビ系)で格闘系の一発ネタをやっていた芸人さんにこってり絞られたことがありますよ。その人は、相方をボコボコにして辞めさせたり、とにかく“説教”が厳しいことで有名でした」
実際、お笑い業界の関係者にヒアリングをすると、こうした例は枚挙にいとまがない。
「中堅芸人のTさんがけっこうイケイケで、後輩に変な無茶ぶりをするのは日常茶飯事でした。芸人に限らずスタイリストなどのスタッフにも怒鳴ったりするなど、多少の暴力もありましたね。そんな調子なので、基本的に親しい後輩や仲間はいませんでした。フジテレビの人気バラエティー番組に出演していて、売れている時代には付いてくる後輩もいましたが、人気が下降するにつれポツポツと人が離れていき、現在はかなり寂しい状態だそうです。Tさんを知っている後輩芸人たちは皆、『最近、テレビで反省してる感やみそぎ感を出しているけど、絶対にそんな人じゃない。すぐにボロが出るはず』と陰口を叩いています」(お笑い系芸能事務所スタッフ)
このスタッフは「芸人の世界は基本的に一般社会的の感覚からズレているので、話が表に出ていないだけでパワハラはほかにも結構あると思います」とも。では、一体なぜこのタイミングでこうした話が出てくるようになったのだろうか?
「世間的にもブラック企業や働き方についての改革が叫ばれ、もともと日本に多かった社長を父親とする“家族型の会社”のような古い感覚で運営されている企業に批判の目が向けられています。それはテレビ局も同じ。芸人だけでなく、テレビ局内のパワハラ問題も最近、取り沙汰されていますよね。今では業界全体でかなり細かい指導も行われるようになり、セクハラ問題と合わせて一部では“セ・パ”っていう隠語が使われるほどです。こうしたテレビ局の状況を見て、パワハラを受けてきた芸人さんやお笑い事務所のスタッフたちが『我々も声を上げていいんだ』ということに気がついたんでしょうね。実際、友近さんの例などは、スタッフからの嘆願書でした」(キー局社員)