釧路駅発の「くしろ湿原ノロッコ号」はディーゼル機関車に牽引されてやってくる(撮影/佐々倉 実)
釧路駅発の「くしろ湿原ノロッコ号」はディーゼル機関車に牽引されてやってくる(撮影/佐々倉 実)
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釧路湿原~細岡間は、まさに湿原の中に線路が敷設されているのがわかる(撮影/佐々倉 実)
釧路湿原~細岡間は、まさに湿原の中に線路が敷設されているのがわかる(撮影/佐々倉 実)
細岡~塘路間では、ゆるやかに流れる釧路川と並走する。奥には雄大な釧路湿原が広がる(撮影/佐々倉 実)
細岡~塘路間では、ゆるやかに流れる釧路川と並走する。奥には雄大な釧路湿原が広がる(撮影/佐々倉 実)
釧路川と並んで走る区間は、「くしろ湿原ノロッコ号」の見どころのひとつ(撮影/佐々倉 実)
釧路川と並んで走る区間は、「くしろ湿原ノロッコ号」の見どころのひとつ(撮影/佐々倉 実)

「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」として知られるラムサール条約湿地として、1980年に日本では初めて登録された釧路湿原。その広大な風景に沿って敷かれた釧網本線に、緑色の列車「くしろ湿原ノロッコ号」がのんびりと走る。

【乗ってみたい!釧路川と並走する細岡~塘路間】

 この列車が走り始めたのは1989(平成元)年で、30周年という記念イヤーの今年9月には乗客200万人を達成した。今なお「北海道を肌で感じられる列車」として観光客に愛される、ノロッコ号に乗車してきた。

*  *  *

 道東のローカル線である釧網本線は、釧路の“釧”と網走の“網”から名付けられた路線(正確には釧路~東釧路間は根室本線の一部)。この釧路駅から主に釧路湿原に隣接した塘路(とうろ)駅を結ぶ観光列車が「くしろ湿原ノロッコ号」である。

 1989年にこの列車が運転を開始したときは、客車のほかに貨車や車掌車を乗客が乗れるように改造した車両を使用していた。貨車を改造した車両は、まさに本来の“トロッコ”のようなスタイル。現在の速度は時速30キロ。「ゆっくり(のろのろ)走る」トロッコ列車の誕生である。

 1989年といえば、北海道を舞台にしたドラマ「北の国から」のスペシャル8作のうち、4作目の「’89帰郷」がオンエアされた年だ。北海道への注目度も高く、日本各地から北海道へ旅する観光客が集まっていた。北海道の大自然に触れたい観光客の人気を呼び、道東の観光列車として定着していった。

■画期的構造の「2代目ノロッコ号」車両が登場

 初代「ノロッコ号」は、客車と改造した貨車をディーゼル機関車が牽引(けんいん)する、通常の客車列車の方式で運転されていた。終着駅では機関車を切り離し、客車の反対側に付け直す手間と時間がかかっていた。

 1999年に登場した「2代目ノロッコ号」は現在も運行中の車両で、通勤や通学に使われていた50系客車を改造したもの。開閉できる窓のサイズをワイドビューを楽しめるように大きくし、さらにトロッコ列車のように開放できるように、乗客の落下防止に手すりを取り付けるなどの工夫が凝らされた。座席はナチュラルな木のベンチスタイルに付け替えられ、車内からは雄大な風景が手に取るように感じられる。

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ワイドビューもポイント