そこで、下の道で袖ケ浦ICまで行ってそこからアクアラインに乗る以外に東京に行く方法がないと思い定めて、13時半に車で家を出た。土砂崩れと樹木の倒壊で通行止めの県道を迂回し海沿いの国道に出て北へ向かったが、その国道も信号が点かず、倒木が寝ていたり、沿道の家屋やガラス張りの温室が崩れて片付けの作業が行われていたりして、片側通行のところも多く、大渋滞で全く進まない。それでも頑張って前進を図ったが1時間で3キロしか進まず、ついに諦めて引き返し、研究所に連絡して本日の放送は中止とさせて貰った。
9月10日(火)
【被災者体験記3】
電気が復旧する気配はなく、近所のガソリンスタンドのご主人や情報通の人たちの話を総合すると、「早くて明日一杯、しかしこの様子では1週間くらいかかるかもしれない」とのこと。
今年最高とかいう猛暑の中、クーラーなしで過ごすのは辛く、熱中症にならないよう小まめに水分をとるよう心がけた。それで大汗をかいても、我が家は山の水を濾過してタンクに貯めてポンプで揚げているので電気が来ないと水道が出ず、シャワーを浴びることができない。
飲料水はペットボトルで十分な備蓄があるので心配はなく、食器の洗浄やトイレの水洗は庭に掛け流しになっている未濾過の山の水を汲んで運べば何とかなるが、風呂に入れないのには参った。冷蔵庫も2日間電気が来なければもう限界で、思い切って中身を全部捨てた。
加えて、今日の午後から携帯電話も無線インターネットも「圏外」になってしまい、外との連絡が途絶えた。今朝までは通じていたのにどうして?
近所の情報通の解説では、「停電の後も基地局はバックアップのバッテリーで作動していたが、バッテリーが持つのは1日が限度で、数日間も停電が続くことは想定されていない。だから電気が通るまで通信は復旧しない」とのことだった。
唯一の救いは、調理台がIHヒーターでなくプロパンガスであるため、お湯を沸かしてコーヒーを煎れたり、レトルト食品を温めたりすることができたことだ。生活の中で電気に頼る部分をできるだけ減らすと同時に、電力系統からの供給が途絶えても自立して使える装置とかを備えておくべきだと痛感した。