車体はアルミニウム合金製で、定員は車両によっても異なるが126~145人。客室はオールロングシートながら、従来車より天地方向に50mm拡大された窓を自動で開閉するパワーウィンドウ、非常通話装置を始めとする新機軸が採用された画期的な車両で、以後の阪急電車の指針となった。
現在、8000系は8両編成10本、4両編成1本、2両編成6本、8200系は増結用の2両編成2本、8300系は8両編成5本、6両編成6本、2両編成4本が活躍している。
今回の記念列車はまず2019年1月19日から、トップナンバーの8000編成が神戸線全線、今津線西宮北口~宝塚間で営業運転を開始した。
記念運行に際し8000編成には前面窓下飾り帯の復活、1975年の6300系投入時に採用され、1992年の新社章制定まで準社章のように使用された「Hマーク」を先頭車の乗務員扉脇に添付、そして側面裾部の中央に、京阪神急行電鉄時代から1992年まで使用された旧社章を復刻した。これらは、登場時の姿を彷彿(ほうふつ)させるもので、往時を知る人には何とも懐かしい姿である。2月28日までは記念ヘッドマークが掲出されたが、翌日から4月16日まではヘッドマークを取り外し、デビュー当時の姿を披露した。
この記念列車は好評で、第2弾として5月からは宝塚線と京都線にも拡大し、3本の記念列車が運行されている。宝塚線は8004編成、京都線は8300編成で、前面の飾り帯、Hマーク、旧社章の装飾は8000編成と同様に行われた。9月30日までは記念ヘッドマークを掲出し、翌日から11月1日まではヘッドマークを取り外して運行される。記念列車と往時の姿、どちらも見逃せない企画である。
8000系電車誕生30周年記念グッズのラインナップは、ヘッドマークをデザインした缶バッジ、クリアファイル、キーホルダーのほか、Hマークをかたどったキーホルダーなど。阪急電鉄には発売開始から多くの問い合せが入っているとのことで、人気のほどがうかがえる。(文/平賀尉哲)
○平賀尉哲(ひらが・やすのり)1964年、徳島県生まれ、三重県育ち。鉄道雑誌の編集部に勤務し、2008年にフリーランスの編集者、ライターとして独立。「週刊JR/私鉄 全駅・全車両基地」(朝日新聞出版)、大手私鉄を各社ごとに取り上げて前面展望映像のDVDとくわしい車両紹介、歴史などを記した「完全データDVDBOOK」シリーズ(メディアックス)の企画・編集・執筆に携わる。車両に乗って旅をしているだけで幸せになる「乗り鉄」派である。スキューバダイビングの経験も長く、インストラクターの一歩手前までのライセンスを所有する。