これまで紹介したチームを見ても分かることだが、大阪のチームの強さは個々の能力を生かしながらチームとしても強さを発揮しているという点にある。

 例えば横浜(神奈川)は一時期毎年プロに選手を輩出しながら甲子園ではなかなか勝てない時期があった。また智弁和歌山(和歌山)や明徳義塾(高知)は甲子園では結果を残しながらも、プロで活躍している選手の数は多くない。

 それに比べてかつての浪商、PL学園、そして現在の大阪桐蔭と履正社などはプロで活躍するスケールの大きい選手を擁しながら、チームプレーなど細かい野球も徹底して行えるという強さがあるのだ。これはもはや大阪の高校野球の伝統と呼べるものになっている。

 そして大阪の凄いところは大阪のチームの強さだけではない。今年の夏の甲子園でベンチ入りした882人の選手のうち、出身中学をもとに出身地を調べたところ、最も多いのが大阪出身の選手でその数は73人にのぼったのだ。

 2位は兵庫の56人、3位は東京の54人という数字を見ても大阪が頭一つ抜けていることがよく分かる。また大阪出身の選手がベンチ入りしているチームは全49代表校のうち21校あり、その割合は40%以上になる。大阪出身の球児が日本の高校野球の屋台骨を支えていると言っても過言ではないだろう。

 そんな大阪出身球児の活躍の背景にあるのが、大阪の盛んな中学野球だ。硬式野球の中でも特に加盟チーム数が多いリトルシニアとボーイズの2連盟においてもそれは顕著である。リトルシニアでは東京でも東東京、西東京の二つの支部があるが、大阪では大阪市内、北大阪、南大阪と三つの支部を抱えている。また関西発祥のボーイズリーグでも東京が東西二つの支部に対して大阪は四つの支部がある。

 全国大会などの成績を見ると目立って大阪のチームが強いというわけではないが、チーム数の多さが良い選手を多く輩出する土壌となっていることは間違いないだろう。実際大阪出身で県外の高校に進学した経験がある元甲子園球児に話を聞いても、大阪府内やチーム内での競争は激しく、どのチームでもレベルの高い選手が必ずいたと話していた。

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大阪桐蔭、履正社に続く新興勢力も登場?