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「村の住民にとって、セイコーマートは単なるコンビニではなく、電気や水道と同じようなライフライン。とてもありがたい存在です」
こう話すのは、北海道北西部、日本海沿いにある初山別(しょさんべつ)村の宮本憲幸村長だ。札幌市から、直線距離にして約165キロ離れた同村の人口は1163人(2019年3月末現在)。2014年6月、生鮮食品などを扱う個人商店が閉店し、多くの住民が買い物弱者となった。
約20キロ離れた隣の羽幌町(はぼろちょう)まで車で行かなければ、卵一つ買えない。そんな住民らの窮地を救ったのが、その半年後、14年12月に村役場近くにオープンしたコンビニエンスストア「セイコーマート初山別店」だ。同店の商圏人口は約900人。そんな場所に、なぜコンビニができたのか。
宮本村長によると、村ではもともと、若者を中心に、とりあえずの品物がそろい、営業時間も長いコンビニを求める声が多かったという。しかし、昔から村にある個人商店との経営の兼ね合いが難しく、なかなかコンビニのオープンには至らなかった。