■「間口が広いと、狭い家よりも評価額が高くなることが」

 すると、担当者は、こう言うのだ。

「隣の家のことを話すわけにはいきませんが、多分、間口の広さが違うのでしょう。間口が広いと、狭い家よりも評価額が高くなることがあります」

 間口とは、敷地が道路に接している長さのことをいう。旗ざお地の場合、間口が狭くなりがちなので、土地の使い勝手が悪くなる。固定資産税を算出するための土地の評価は、敷地が接している道路についている「固定資産税路線価」に面積をかけて計算するが、表通りから奥まったところにある旗ざお地は、路地にも評価額がついていて、表通りより低い。その金額を敷地面積にかけるのだが、土地の形や奥行き、間口などの条件によって「補正」がある。

 実は、記者の家の間口は隣の家の間口より狭い。そのため、車を入れるのに苦労している。逆ではないのかと聞くと、担当者は事務所の奥から「公図」を持ってきた。地図の間口にあたる場所に縮尺定規を当てて「2.5メートルある」と言うのだ。間口が2.5メートル以上だと土地の評価額は15%割り引かれるが、それ未満だと20%の割引に広がる。その境目の2.5メートルあるというのだ。隣家との違いはこの5%分と思われる。

 しかし、2.5メートルあれば車の出し入れはもっと楽なはずだ。そこで家を建てた時の図面を確かめると、間口は「2.09メートル」と書いてある。実際にメジャーをあてて測ってもその程度だ。その図面を役所に持っていき、こう話した。

「実際に測ってみればはっきりします。うちに来てください」

■法務局にある、測量した図面を確認したら…

 担当者の答えはこうだった。

「当事者が測量したものでは判断しません。あくまでも公図で判断します。ただ、法務局
に測量したものが届けられていることがあるので、確かめてみます」

 正式な測量は隣家が立ち会って、境界線を相互に確認しながら行う必要がある。確かに、塀があるからそこが境界線と断定できるわけではない。法務局にあるかもしれないという図面に期待して、連絡を待った。

 数日後に役所から連絡があり、81年に何かの理由で正式な測量をして、届けられた図面が見つかったという。おかげで、間口が2.5メートル未満であることが確認できて、固定資産税は減額された。

※内容は発売当時(2019年2月)のものです

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