ネット上でも、玉木氏が「上手い返しをした」と称賛する声も多い。それもそのはず、民主党政権が崩壊し、最終的に党が分解してしまった責任は、長く党で要職を務めてきた菅氏の方にある。一方の玉木氏は、09年の政権交代選挙で初当選した「若手組」。民主党政権時には1回生議員にすぎなかった。国民民主の議員は、「与党の時に1回生議員だった玉木さんが、民主党の尻ぬぐいのために野党が結集するよう動いているのに、大臣を経験した人たちが足を引っ張っている。恥ずかしくないのか」と憤りを隠さない。

 野党の現状に不安を感じているのは、共産党も同じだ。かつて共産党は、国政選挙では他党と協力せず、全選挙区に候補者を立てることを基本方針にしていた。結果として野党票が分裂して与党を利することになっていたことから、「自民党の補完勢力」と批判されることもあった。それが、15年に安倍政権が安保法制を成立させたことを機に方針を転換。現在は、野党との選挙協力を積極的に進めている。だが、いつまでも共産党が今の方針を維持するとは限らない。

「立憲民主と選挙協力をすれば、支持層が重なる共産党の票が減る。それでも、“本気の”野党共闘を実現するために協力している。なのに、立憲民主と国民民主の協力も進まない状況で、支持者にどう説明すればいいのか……」(共産党関係者)

 野党間の協力が遅々として進まないことに、枝野氏の政治家としての力量に疑問も出ている。枝野氏は、立憲民主の理念として、政治家が権力を振りかざす「上からの政治」ではなく、普通の人たちが政治に参加する「下からの政治」を掲げている。ところが、立憲民主の議員はこう話す。

安倍晋三首相が長期政権になったことで“安倍一強”なんて言われますが、今の野党は“枝野一強”。野党で枝野さんの地位を脅かすような人はいない。政策では多様性のある社会を掲げているが、野党内で競争がないから党内で枝野さんを批判する人もいない。野党の中では自分の地位は安定しているし、本当はもう政権交代なんてしたくないのではと思ってしまう」

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野党議員「立憲民主は自民党を見習ってほしい」