星稜の奥川恭伸投手 (c)朝日新聞社
星稜の奥川恭伸投手 (c)朝日新聞社

 3月23日に開幕する選抜高校野球大会。史上初の3季連続甲子園優勝を狙った大阪桐蔭や157キロ右腕の佐々木朗希を擁する大船渡が出場を逃したこともあって、本命、目玉不在の大会と言われているが、それでもプロが注目する好素材は少なくない。そこで開幕を前に、チェックしておくべきドラフト候補を紹介したいと思う。

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 現時点ですでにドラフト上位指名が有力視されているのは奥川恭伸(星稜)と及川雅貴(横浜)の投手二人だ。奥川は昨年春夏の甲子園に出場し、9月に行われたU18アジア選手権でも2年生で一人だけ選ばれるなど、すでに実績十分の右腕だ。昨年夏まではスピードはあるもののリズムが単調でタイミングを合わせやすい投手という印象だったが、秋には変化球とコントロールが格段にレベルアップした。

 手元で鋭く変化するスライダーとフォークは腕を振って投げられるため打者はストレートと見分けがつかず、ボール球でも思わず手が出てしまう。ストレートもコーナーにしっかり投げ分け、常にストライクが先行するピッチングは安定感抜群。昨年秋は60回1/3を投げて82奪三振、5四死球と圧巻の成績を残している。今大会でも昨年秋のような投球を見せることができれば1位指名の可能性はさらに高くなるだろう。

 一方の及川も高校入学前から全国的に有名な本格派サウスポーで、中学時代にはU15の侍ジャパンに選ばれた経歴を持つ。横浜高校では入学直後からマウンドを任され、1年夏、2年夏と甲子園のマウンドも経験済だ。及川の武器はスリークォーター気味の豪快な腕の振り。肩の可動域が広く、肘の使い方も柔らかいため長いリーチがさらに長く見えるのも特長だ。サウスポーらしいボールの角度も持ち味で、好調時はコンスタントに140キロ台後半のスピードをマークする。腕を振って投げられる鋭いスライダーも一級品で、昨年秋は41回1/3を投げて59三振を奪い、奥川を上回る奪三振率を記録した。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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奥川、及川以外にも見ておくといい投手は