選び抜かれた選手たちが集まるプロ野球界。スカウティング能力などもあるだろうが、技術的部分では差はあまりないはず。しかしそこで優劣、順位がつくのは様々な要因が絡むから。中でも長いシーズンでは、勝負どころのメンタルはやはり避けられない。
「負けてたまるか」と信じ抜ける気持ちの強さだけではない。試合に出ることによって得た経験値。結果を出し勝ち続けてきたことによって生まれる確固たる自信。「こんなところでは負けない。負けるはずがない」と自然に思える雰囲気がチーム全体に備わり共有されること。それこそが「勝者のメンタリティ」と呼ばれるものではなかろうか。
勝者のメンタリティがあれば、勝負どころでの集中力も変わる。パフォーマンスも高まり、戦術面での的中率も高まる。それがチーム全体で共有できれば、チームカラーとして伝統にもなる。強豪チームとして黄金時代を作り上げる1つのキーであろう。
「絶対的な強さはなかったがなぜか勝っている」
18年優勝時、何人もの解説者が口にした。誰もがやるべきことを遂行することでチームが機能し勝利する。まさに広島には勝者のメンタリティ、チームカラーが芽生えつつある。
広島の強さの要因は自らがなすべき仕事を、選手誰もがわかっているから。選手個々に役割があり、それぞれ求められていることは異なる。その中で個々がしっかり結果を残すことで確固たる自信が芽生え、今につながっているのだろう。
「絶対に捕球してアウトにできるという保証もないし、確信や自信もない。プロ入り以来、その気持ちに変わりはない。たしかに守備に対しての思い入れは強い。守備は大好きだしどんな打球でもアウトにしたい。だから簡単に見える打球でも、自分では必死にアプローチしている」
そう語るのは、今や日本を代表する二塁手となった菊池涼介。
「経験は積んできているのはある。大きな舞台も経験させてもらった。だけど1つの打球が飛んできた時のアプローチの方法は変わらない。必死にアプローチする。そういう部分は、アマチュア時代、もっと言えば小学校から変わっていないんじゃないかな。不安とか、怖さというのではないけど、それが当然になっている」
誰も真似ができないような守備範囲の広さは、大きな武器だ。ポスティングでのメジャー挑戦すら視野に入れる男は、すべての打球に必死に喰らいつくことが自分自身を支えているという。