もともとフィリピン人は国民性がフレンドリーで、英語がうまく話せなくても意をくんで理解してくれることが多い。とりわけセブは観光客が多いため、英語が話せない外国人にも慣れている。親が自在に英語を扱えなくても日常生活には困らない。日本語で学校紹介、移住をサポートしてくれるサービス会社もあり、移住のハードルは意外なほど低かった。

 次にお金だ。セブ島のインターナショナルスクールの学費は、学校や学年によりさまざまだが、最低で年間1人30万円から入学できる。習い事や幼稚園へ支払うコストを考えれば、今、それに近い教育費を支払っている家庭もあるだろう。日本でインターナショナルスクールといえば高額で一般家庭には手が出ないが、フィリピンは物価や人件費が安いため、日本の物価水準で暮らす一般家庭でも十分手が届く。

 生活費も日本に比べれば格段に安い。プール付きのコンドミニアムで、リビング、ダイニングルーム、ベッドルームがついた部屋が、1カ月4万~6万円程度で借りられる。ガードマンが常駐する、安全で清潔なコンドミニアムだ。希望すればお手伝いさんを月給1万~2万円程度で雇うことだって可能だ。

 私はセブにある日系企業で仕事を得ている。お手伝いさんを雇い、オフィスまでタクシー通勤する生活。タクシーだって、近距離なら100円以内。日本でワーキングマザーをしていた頃のしんどさとは比べものにならないほど楽だ。私のように仕事をしているお母さんは少数派だが、仕事があれば、生活費にはなお余裕が出る。

 もちろん、セブでの生活がいいことずくめ、というわけではない。やはり、日本では考えられないハプニングも日常的に起きる。たとえば朝夕の渋滞。残業した日の仕事帰りは、歩いたほうが早い、というほどの大渋滞に見舞われる。また、夜中に水道管がはずれて大量の水が洗面所に流れ出したり、ドアの鍵を開けようとしたら、鍵が鍵穴の中で折れてしまったり……。日本の生活と比べれば、いささか煩わしさがあるのはたしかだ。それでも人々はフレンドリーで、子ども好きな国民性は心地よく、移住から1年以上が経つが、日本に帰りたいという思いは湧いてこない。

■3歳の息子は1年後にアメリカ人の大人と話せるように

 息子の英語力の成長を紹介しよう。彼は3歳9カ月のときにインターナショナル幼稚園に入った。英語学習の経験はほぼなく、りんごが“apple”と知っている程度の英語力だった。

 息子の通ったインターナショナル幼稚園では、クラスの人数が15人程度で、午前中は英語や算数、ディスカッションのセンスを磨くカリキュラムが組まれている。先生と1対1でワークブックに取り組む時間もある。個別指導では子どものレベルに合わせてくれる点も嬉しい。午後のクラスは任意で申し込むことができ、ランチとお昼寝の後に曜日ごとにキッズヨガやアート、音楽などのレッスンが提供され、楽しみながら英語を吸収できる環境が整っている。

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1年後には会話もジョークも理解