西尾典文
最下位からの巻き返しを目指す阪神は、昨シーズン二軍で12球団トップとなる163盗塁をマークしているが、その中でも際立つスピードを誇るのが島田海吏だ。2012年春の選抜に2年生ながら大塚尚仁（元楽天）、溝脇隼人（中日）とともに8番・ライトで出場。当時から目立った俊足は上武大進学後にさらに凄みを増し、4年時には大学日本代表として国際舞台でも活躍を見せた。4年春のリーグ戦では12.00秒を切れば俊足と言われるスリーベースの三塁到達で11.08秒というタイムもマークしている。島田の良さはとにかく足を緩めないところ。3年秋の明治神宮大会ではセンター前ヒットで3.99秒という一塁到達タイムを叩き出しているが、普通のヒットで4.00秒を切ることはめったになく、いかに島田が全力疾走を怠っていないかということがよく分かる数字といえるだろう。ルーキーイヤーの昨年は二軍でチームトップとなる101試合に出場。打率は.237に終わったものの、リーグ2位の26盗塁をマークし、シーズン終盤には一軍でもプロ入り初安打を記録している。ドラフト1位ルーキー、近本光司の加入で外野手争いは厳しさを増しているが、そのスピードを生かしてまずはシーズン通じての一軍定着を狙いたい。
島田を上回る27盗塁をマークして、昨年ウエスタン・リーグの盗塁王に輝いたのが周東佑京（ソフトバンク）だ。東農大二高では全国的には無名だったものの県内では俊足攻守のショートとして知られる存在で、東農大北海道オホーツクでも下級生の頃からレギュラーとして活躍する。4年春に出場した全日本大学野球選手権では、初戦で福井工大に敗れたものの、第一打席でいきなりスリーベースを放ち、三塁到達タイムは10.98秒とそのスピードを全国の舞台でいかんなく見せつけた。育成ドラフト2位でのプロ入りながら、昨年は前述した通りウエスタンで盗塁王を獲得するなど二軍の主力に定着した。島田の盗塁失敗が19に対して周東はわずかに4とその成功率の高さでも際立っていた。オフに参加したプエルトリコのウインターリーグでも結果を残し、このキャンプでは育成選手ながら一軍にも抜擢されている。まずは支配下登録が目標になるが、内野も外野も守れるユーティリティーぶりも光るだけに、ベンチにいるとありがたい存在となりそうだ。
ブレイディみかこ
下山進
山本佳奈
