最後にアマチュア球界からも二人の“いだてん”を紹介したい。一人目は今年のドラフト対象となる金子莉久(白鴎大・4年・外野手)だ。国学院栃木時代から俊足で目立つ選手だったが、大学でもそのスピードを生かして1年春から外野の一角に定着。1年秋の関東大学選手権では左沢優(オリックス・当時横浜商大)からのショート内野安打で一塁到達3.80秒、昨年春のリーグ戦ではタイムが出やすいバントヒットとはいえ、一塁到達3.41秒という破格のタイムをマークしている。165cmと小柄だが3年春には4割を超える打率を残して首位打者を獲得。昨年の春秋のリーグ戦24試合で26盗塁をマークするなど、そのスピードはまさに規格外と言える。

 もう一人はこの春、関東一から中央大に進学する斎藤未来也だ。高校では下級生の頃から主力として活躍し、1年秋の都大会では8.00秒を切れば俊足と言われるツーベースの二塁到達で7.45秒、2年夏の東東京大会ではスリーベースの三塁到達で10.82秒と先輩のオコエ瑠偉(関東一)を上回る快足を披露している。同じ中央大には中学時代の陸上全国大会、100メートルと200メートルでサニブラウンを破って二冠に輝いた五十幡亮汰(3年)も在籍しているが、斎藤と五十幡で1、2番を組むようなことになれば、他大学にとって脅威となるだろう。※タイムはいずれも著者計測。

 プロ野球の開幕まではあと約1カ月半。ここで取り上げた選手以外にも、ダイヤモンドを駆け回る新たな“いだてん”が登場してくることに期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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