NHK大河ドラマ「いだてん」には明治時代の街並み、建物が登場する。なかでも、主人公の1人、金栗四三が在学していた東京高等師範学校の校舎は美しく、厳かな雰囲気を漂わせている。なお、同校は戦後、東京文理科大などと統廃合し東京教育大となり、現在は筑波大に継承されている。
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金栗が通っていたころの東京高等師範学校の校舎は現存しない。撮影に使われているのは、京都にある龍谷大の大宮学舎である。
龍谷大は浄土真宗本願寺派の教育機関で、その歴史は古い。1639(寛永16)年に西本願寺学林として創設された。明治時代に入って「大教校」と改められる。「いだてん」の舞台となった大宮学舎は、1879(明治12)年に講堂として建てられた。金栗が東京高等師範学校に入学したのは1910(明治43)年なので、大宮学舎はとうに存在していたわけだ。
大宮学舎は100年以上の風雪に耐え、1992(平成4)年から全面解体修復を行い、1997(平成9)年に美しい姿に生まれ変わる。現在、大宮学舎は勤行、法要などの行事・式典が行われているほか、仏前結婚式に利用されることもあり、龍谷大関係者にとっては大切な場所となっている。
龍谷大にロケ地に使われた経緯をたずねてみた。
「時代背景に合った建築物、そして、学校という設定に合った建築物を探していた制作側から依頼があり、事前に下見していただいたうえ、ロケ地として採用されました」(広報課)
撮影当日、段取りなどについては、次のように説明してくれた。
「週末で授業が少ない日ではありましたが、研究室には教員、学生がいるなかで、6月に2日間かけて撮影されました。教育、研究活動に支障のないスケジュール調整、学内における合意形成には時間を要しましたが、学内関係者の協力もあり、無事に撮影を行うことができました。俳優さんとはすれ違うときにあいさつをする程度で、交流はありませんでした。過密なスケジュールでしたのでみなさまお忙しそうでした。放映を見て見慣れている学舎が、プロのみなさまの手によって明治時代の風景に姿が変わるさまに驚きました」(同)
近年、大学の施設がテレビドラマ、映画の撮影によく使われている。表は、『大学ランキング2019』(朝日新聞出版)掲載の「ロケ地ランキング」だ。これをもとに、いくつかの大学のロケ地事情を紹介しよう。