雷句誠氏が原画紛失で小学館を訴えた事件は、いろいろと考えさせられました。

彼のブログを見ると、もうアクセスが100万を突破し、訴訟に関してブログを通じて届いたメールが1500通あまりになろうとしていると書かれています。そのうちの殆どが応援メールなのは、彼の個人ブログという性質上当然と言えますが、この数字、やはり驚くべきものです。

インターネットが発達する前は、漫画家とファンとをつなぐのは編集者であり出版社でした。ファンレターも基本的には編集部気付にしてそこから漫画家に渡すというのが普通だったはずです。

それが今では、メールやブログのコメントでダイレクトなやりとりが出来るようになった。そして他の漫画家達も賛同する人、反撥する人、いろいろいますが、ダイレクトな意見をネットにあげています。これまで出版社や新聞社、テレビ・ラジオなどのメディアを通さなければマスに対して情報発信できなかったのに比べれば、大きく状況が変わっています。漫画家が読者に対してのダイレクトなネットワークを手に入れたのです。

インターネットの普及は、活版印刷により書籍が庶民の物となって以来のパラダイムシフトを生む。そう言われることがあります。

今回の出来事を見ているとまさにそう感じます。

情報の中央集権国家体制と言える今までの大手メディアのやり方では通用しなくなる日も遠くないのではないか。

もちろん大手メディア側もそのことに気づいてはいます。ただ、実際の現場では日々の仕事に追われ、昨日と同じ明日が来るという考えから抜けきれない人々も多いのではないか。その意識のずれは徐々に修正されてはくるでしょうが、ここしばらくは大きな混乱が生まれるのではないか。今回の出来事は、もう少し先になって「あ、あそこが転回点だったのか」と気づく事件なのではないだろうか。

そんな気がしてならないのです。