捜索後、元大学生から事情を聞き、所有のパソコンのデータを解析したところ、覚せい剤やけん銃の密造が浮上したというのだ。

 検察側の冒頭陳述では、けん銃は、2017年7月から10月にかけ3Dプリンターを使って密造されたという。

 元大学生はそれを自宅本棚に辞書を置いて、その奥に隠していたのを警察の捜索で発見された。けん銃の密造はまず、インターネットで設計図をダウンロードして、黒いプラスチック樹脂で銃身、引き金などのパーツを作り、それを組み立てて、けん銃として完成させた。警察の鑑定の結果、殺傷能力が認められたという。

「元大学生は、けん銃を組み立てたがうまく発射できなかったとして銃身を自分で改造。殺傷能力があるものに仕上げたそうだ」(前出の捜査関係者)

 そして覚せい剤は、インターネットで知り合った知人から1グラム13000円で買うと、持ちかけられたことがきっかけで、密造をはじめたことが冒頭陳述で明らかになった。

 元大学生は、覚せい剤成分を含む溶液までは密造。だが、それを生成して売り渡すまでには至っていなかったという。

「元大学生は、『悪いことをするつもりで作ったのではない』と言いながらもどうやって爆薬やけん銃を作ったのかと聞くと自慢げに細かく密造方法を、とうとうと説明する。爆薬を試して爆発させたりし、その写真を高校の友人たちにLINEで送ったりしていた」(同前)

 元大学生は、おとなしい、目立たないタイプだったという。

 元大学生のものとみられる、動画サイトには<マッチやライターを使わずに火をつける実験>というタイトルで、薬品を化学反応させて、発火させるシーンなどの動画が投稿されていた。ツイッターのアカウントの自己紹介には<毒劇物好物>と記されていた。

 けん銃、爆薬、覚せい剤と過激なものを密造して、それをSNSで自慢する“承認欲求”が犯行に走らせたのだろうか。(今西憲之)

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