伝統ある阿波踊りのフィナーレをかざる「総踊り」の中止を巡って昨年から対立が続いていた遠藤彰良徳島市長と阿波踊り振興協会。
遠藤市長が委員長を務める阿波おどり実行委員会は1月10日午後、阿波おどり振興協会を徳島市役所に招いて委員会を開催し、雪解けムードを演出した。
遠藤市長は、阿波おどり振興協会に対して、今年8月に予定される阿波踊りについて、「総踊りを4つの演舞場で踊って頂きたい」「阿波踊りを盛り上げるため、成功させるために皆様のご協力を」と呼びかけ「和解」を申し入れたのだ。
昨年8月は阿波踊りで「内紛」が勃発。市長側の指示で阿波踊りの最大の見せ場である総踊りの中止が決定され、それに反発した阿波おどり振興協会が独自に開催することを本誌がスクープ。大きな反響を呼び、全国的に注目される中、市長の反対を振り切る形で総踊りは行われた。
しかし、この内紛の影響で阿波踊りの収支は約2900万円の赤字となった。
赤字体質からの脱却を目指して遠藤市長が新体制で臨んだものの、強引な運営で祭りのイメージが悪化し、観光客離れを招いた。
今回、手のひら返しの遠藤市長の申し入れに、数々の「遺恨」がある阿波おどり振興協会の山田実理事長はこう怒った。
「総踊りだけで、阿波踊りは成功しません」
「遠藤市長は去年、総踊りは面白みがない、ぎゅうぎゅう詰めで踊っている、あれは阿波踊りやないと言い、否定された」
遠藤市長は、昨年の阿波踊りで総踊りの中止を決定した時に、その理由として「ぎゅうぎゅう詰めで踊っていて、総踊りは阿波踊りではない」という趣旨の発言をしたことについて、不信感を訴えたのだ。
この発言は、阿波おどり振興協会のメンバーを傷つけ、「遠藤市長の発言は許せん。阿波おどり振興協会のメンバーも徳島市民。市民を侮辱している」と涙する、踊り子もいたのだ。
山田理事長の発言に、遠藤市長は「去年の話をすると不毛になるのでやめませんか」
「今日はご協力をいただけるかどうか、うかがっている」と終始、かわそうとするばかり。