そして、徳島市とともに阿波踊り実行委員会のメンバーで、中核的に役割を果たした徳島新聞社の米田豊彦社長も「去年はボタンの掛け違いがあった。これからは改善したい。今日は論議するのではなくて…」と火消しを図るも、山田理事長の怒りはおさまらない。

 昨年の阿波踊りで、阿波おどり振興協会は、何度も話し合いを徳島市や徳島新聞社に求めていた。だが、なかなか実現せず、総踊り一方的に「中止」と宣告された。

「遠藤市長、不毛の二文字で片づけていいのか? それで新たな建設的な話し合いができますか」

「徳島新聞社には、何度も話し合いをと連絡したが、わからないというばかりだった」

 そして山田理事長はこう締めくくった。

「阿波踊り、徳島のため、総踊り、やれと言われればやります。条件が整えば、総踊りなどやります。しかし、反省なしにやってもダメだ。これまでの間違いは認めるべき」

 総踊りについては、前向きな方向に考えることで実行委員会は終わった。

 終了後、山田理事長はこう語った。

「遠藤市長に総踊りをボロクソにけなされた悔しさは今も、忘れていません。阿波踊りをよくしたい、たくさんの人に楽しんで頂きたいという思いは我々も同じ。ただ、昨年の大混乱、大赤字の反省なくして、いい阿波踊りはできません。これからも、話し合いをしていきたいと思います」

(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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