民法改正で成人の年齢が18歳に引き下げられてから(施行は2022年4月)、はじめての成人式を迎えようとしている。しかし、約3割は「行きたくない」と感じているというデータもある。「成人式に行きたくないのはあなただけではありません」。自らも不登校経験者で成人式を欠席した、不登校新聞編集長の石井志昂さんはそう呼びかける。
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「成人式は同窓会。絶対に行きたくない」
「自分の人生を壊した奴らを見るのかと思うだけで、はらわたが煮えくり返る」
私がよく取材をしている不登校、ひきこもりの人たちからは、こんな声を聞いてきました。ここまで強烈な思いはありませんでしたが、私も不登校経験者、成人式は欠席しています。
成人式に行きたくないのはあなただけでありません。
日本財団が昨年12月に調査したところ、17歳~19歳の男女のうち「成人式に出席したくない」と答えた人が29.4%(「18歳意識調査」日本財団)。実に3割の人が「行きたくない」と感じているのです。
理由として最も多くあげられたのは「同級生に会いたくないから」36.2%。次いで「成人を祝うことに意味を感じないから」34.0%(複数回答可)。
回答者からは「成人式行かなければならないという風潮をなくしてほしい」(女性)、「お酒を飲んで騒ぎすぎる人が増えるならなしでいいと思う。成人として恥ずかしいのをさらすための式ではないので」(女性)など、辛辣なコメントも寄せられていました。
成人式は本来、次代を担う若者を励ますための式ですが、私からすれば、数多くの若者を葛藤の渦へと引きずり落としてきたセレモニーというイメージが強くあります。不登校経験者のAさんもその一人でした。
■「同級生に会いたくない」「スーツが買えない」
Aさんは地方出身の20代男性。小学生のころに不登校をし、「自分のクロ歴史を塗り替えたい」と塾で勉強に励んで東京の大学へ進学。成人式のお知らせが来たのは、大学2年生のときでした。