株価下落が止まらないトレーニングジム大手RIZAP(ライザップ)グループ。その経営指南役だった経営諮問委員会が12月末にいったん解散する。広告では多数の有名タレントを起用し、「結果にコミット」を切り札にして客の信用を集めていた。経営諮問委員会にも小泉改革を主導した竹中平蔵氏やコーポレートガバナンスの専門家、伊藤邦雄一橋大学名誉教授らそうそうたるメンバーが顔をそろえていたが、「結果にコミット」できなかったようだ。
ライザップグループのホームページをみると、経営諮問委員会のメンバーを紹介していた「アドバイザー一覧」のページは「お探しのページは見つかりません」と最近、閉鎖された。広報担当者は「すべての業務を見直し、構造改革を進める一環として経営諮問委員会委員との契約を12月中にいったん解消します」と説明する。竹中氏ら現在の4委員は退任し、その後再び経営諮問委員会が立ち上がるかは未定で、ひとまず店じまいする。
同社のホームページによると経営諮問委員会は、外部の有識者4人が「M&Aを中心とする経営戦略や真のグローバル企業になるべく大局的な成長戦略の策定における、経済・金融市場の見通しについて、客観的に、第三的視点で経営陣に対して、助言・指導」する組織だという。まさにライザップの経営指南役である。
竹中氏ら現在の委員が揃ったのは2016年9月。竹中氏は小泉政権で経済財政担当相、金融担当相、総務相を歴任し、構造改革路線を推進した。伊藤氏は一橋大学商学部長などを務め、2014年には経産省が発表した「伊藤レポート」をまとめた。コーポレートガバナンスの強化を進めた著名な経営学者である。東レやセブン&アイ・ホールディングスなどの社外取締役も務める。あとの2人も藤田勉・シティグループ証券顧問、松岡真宏・フロンティア・マネジメント代表取締役で証券・金融の専門家である。
4人とも「有識者」として申し分のない経歴である。ライザップにしてみれば、こうしたメンバーで構成された経営諮問委員会を設置することで、投資家や顧客の信用を集めようとしたに違いない。
だが結果から見れば経営諮問委員会からは適切な助言・指導は得られなかったようだ。
現在の4人のメンバーがそろった2016年は、ライザップの急成長が始まった年である。2016年3月期に31億円だった営業利益は2017年3月期には102億円に増え、2018年3月期に135億円を超えた。