なんとかAクラスは確保したものの、球団ワーストタイ記録となる4年連続優勝を逃す結果に終わった巨人。シーズン終了を待たずに高橋由伸監督は辞任を発表し、切り札とも言える原辰徳監督が三度目の就任となった。監督を務めた12シーズンで7度のリーグ優勝、3度の日本一に輝いており、Bクラスはわずかに1回という成績から、その手腕に強い巨人復活を期待するファンも多い。
しかし、このオフの巨人の動きを見てみると、過去数年の失敗を繰り返しているように見える。そこで今回はここまでの巨人の補強の問題点と、復活のために必要なポイントについて考えてみたいと思う。
このオフの迷走のスタートは現場以外の人事だった。10月11日、成績低迷を理由に昨年6月に就任したばかりの鹿取義隆GM(ゼネラルマネージャー)の退任と、こちらも昨年就任したばかりの岡崎郁スカウト部長の異動を発表したのだ。GMの仕事はチームの編成全般にわたるものであり、就任して数カ月で結果の出るものではない。それにもかかわらず、これだけの短期間で交代させるということ自体がまず異常と言わざるを得ない。
また、チーム編成において最も重視すべきドラフト会議を前に、編成の責任者二人が直前に交代するというのも異例のことである。その影響はドラフト指名結果にも如実に表れた。根尾昂(大阪桐蔭→中日)、辰己涼介(立命館大→楽天)を抽選で外した後に方針転換して大学生サウスポーの高橋優貴(八戸学院大)を指名。高橋は好調時には目を見張るようなピッチングを見せるが安定感には乏しく、1位で指名するには博打的な要素の強い選手である。左右問わず先発投手は欲しいところだが、この時点では他にもスケールの大きい投手が残っており、左投手にこだわった理由もよく分からない。2位以下は全員高校生を並べたが、全体的に未完の大器タイプが多く、全員それぞれ順位が一つか二つ高い印象だった。