「ハズキルーペ、大好き」。頭の中で武井咲の声がこだまする。テレビを点ければ見ない日はないこのCM。2018年10月前期のCM好感度ランキングでは総合4位に食い込み、Youtubeに公開した動画の再生回数は70万回を超えている。実はこのCM、絵コンテから衣装まで、全てをHazuki Companyの松村謙三会長が考案したという。武井咲の出演を「まさか出産後、復帰第一弾にルーペを選んでくれるなんて」と予想外の快諾だったと振り返る。起用のきっかけや同じく話題を呼んだ前作の渡辺謙、菊川怜出演の裏側を松村会長がAERA dot. に激白した。
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――今は武井咲さんや小泉孝太郎さん、舘ひろしさんのCMが放映中です。武井さんの出産後、復帰第一弾CMとしても話題になりました。
これは予想外でした。実は、妊娠報道がある前から武井さんに出てほしいと(武井さんの所属事務所の)オスカーにはお願いしていました。でも、返事がなかったんです。そうしているうちに報道が出て、それでダメだったのかなと思っていました。その後、それとなく聞いてみたら復帰第一弾でぜひ、と言ってくれました。普通、復帰第一弾にルーペは選ばないですよね。やってくれるなんて思わないし、僕だってそのくらい遠慮しますよ(笑)。
――狙ったわけではなかったんですね。どうして出演が決まったんですか?
オスカーの古賀(誠一)社長もハズキルーペを愛用してくれていたそうなんです。そして、武井さんの前に菊川怜さんを起用したのですが、その反響が大きかったというのもあったと思います。
――「黒革の手帖」もオマージュしていますよね。武井咲さんは作品に相当の思い入れがあって、「単なるパロディではなく徹底してやれるなら」とオファーを受けたと伺いました。
ヘアメイクも着物のスタイリストも「黒革の手帖」と同じ担当を付けました。実は「黒革の手帖」を見て、武井さんの大ファンになったんです。髪を上げて、着物を着ると本当にきれいで、気品もあります。はじめ、「黒革の手帖」を元にイメージしてCMを作るのは絶対に無理だと広告会社に言われていました。テレビ朝日のコンテンツですし、他局に流れるのはダメだと。だけど、言ってみないと分からないでしょう。それに、「黒革の手帖」の視聴率が13%くらいだとしたら、87%の人は見ていないんです。CMで武井咲さんの着物姿を見た人に「うわー、きれいだな」と再発見してほしいと思ったんです。前作でも「菊川怜さんのイメージを可愛らしい女性に変えてみたい」と考えて、手でハートマークを作り「大好き」と言ってもらったのと同じ感覚ですね。