「自粛警察ますますはびこる」 都コロナ罰金条例案に賛否両論

週刊朝日
新型コロナウイルス
本誌の取材に答える伊藤悠都議

「経済を取り戻しつつ、新型コロナ第3波の発生を防ぐ土台を作るには、極端な迷惑行為を起こさせないことが大切だと考えました」

【画像】「自粛警察」の仕業?大阪市のある店舗に貼られたビラ

 こう話すのは、東京都議会の最大会派「都民ファーストの会」で新型コロナウイルス対策プロジェクトチームの座長をつとめる伊藤悠都議だ。9月9日に記者会見を行い、新型コロナウイルスに関する全国初の罰則つきの条例案を議会へ提出することを検討していると発表した。

 想定する状況は(1)陽性者が就業制限や外出自粛要請に従わず他人に感染させた場合(2)感染の疑いがある人が検査を拒否した場合(3)事業者が休業・営業時間短縮要請に従わず一定人数以上の感染者を出した場合の3ケース。違反した場合は、5万円以下の罰金が科せられる。

 注目を集める一方、反発の声も大きい。

「PCR検査など都のサポート体制が整っていない中、罰則条例を先行させるとは本末転倒です」

 こう批判するのは地域政党「自由を守る会」代表の上田令子都議。こんな懸念を表明する。

「ある人が『コロナを感染させた』という事実関係を、客観的にどう判断するのでしょうか。すでに問題になっている『自粛警察』が再度活発化し、市民が互いを見張り合う活動がエスカレートする恐れもある。都民間の日常生活に分断をきたすことも考えられます。感染者の人権にも深くかかわる問題なので、慎重に話を進めていただきたい」

 こうした批判について、条例の発案者側はどのように受け止めるのか。伊藤都議は「我々の条例は誤解されやすいところもある」と断った上で、こう続ける。

「記者会見以降、出演した番組では『感染させたら罰金』といった不正確な字幕をつけられることもありました。コロナウイルスは無自覚の時に伝染させてしまうこともありうる。『感染させたら罰金』であれば、確かに人権侵害や都民の分断といった懸念も出るでしょう。しかし、我々の条例案は状況を限定している。正しく言うなら『自宅療養中に感染させたら罰金』なんです。自宅療養指示を受けたが出歩いたといった極端なケースを除けば、適用対象となる可能性は限りなく低いと思います」

 伊藤都議は「条例施行の目的は罰を科すことではなく、都民に自制をお願いすること。今回の条例が行動変容のきっかけになってほしい」とも強調した。条例案は12月の都議会定例会で議員提案が行われる予定。丁寧な説明が求められる。(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2020年11月6日号