甲子園出場の左腕、野球部コーチが球児に性的暴行の疑いで逮捕 被害者は50人超か

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甲子園
大阪府警本部(C)朝日新聞社

 とんでもない野球部コーチが甲子園球児たちを苦しめていたことがわかった。大阪府警は9月13日、大阪市内の私立A高校野球部の元コーチ、水落雄基被告(31)を強制性交致傷容疑で再逮捕した。水落被告はすでに8月にも同様に性的暴行の疑いで逮捕、起訴されており、被害にあった野球部員は50人以上いるという。

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 水落被告は昨年11月深夜、学校に併設された野球部の寮で、「マッサージをする」と野球部員を呼び出し、嫌がる部員にわいせつな行為をし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させたという。

 また最初に逮捕された8月の容疑は昨年12月野球部員が寝ているときに部屋に勝手に入り、水落被告は部員の陰部を触ったりしたという。

 また、今年1月には野球部の寮で野球部員を「マッサージだから」と施術用ベッドがある部屋に誘い、わいせつな行為をした疑い。私立A高校の野球部は、甲子園に出たこともある強豪校。これがきっかけで、1月14日に野球部員の保護者から高校に連絡が入り、水落被告に説明を求めたところ、一連のわいせつ行為を認めたという。A高校幹部はAERAdot.編集部の取材に対し、こう説明した。

「今年1月15日に水落被告を呼び出し、学校で聞き取りをしました。『野球部員にセクハラしてないか?』と聞くと『はい、実は…』と13名の名前をあげて認めました。数が多すぎて、すべての名前を憶えていない様子でした。理由は監督などから受けたストレスと説明していた。野球部はレギュラー候補のAチームと、2軍のBチームに分かれている。被害者の野球部員に聞くと、水落被告がAとBの振り分けを監督に進言していた。水落被告の要求に応じないと、Bチームに落とされたり、練習すら参加できないと危惧し、野球部員たちは怖くて応じざるを得なかったと話している。水落被告はコーチという指導者としての優位性と、自らの性癖でとんでもない問題行為に及んだようだ」

 そして、犯行の手口についてこう説明した。

甲子園にピッチャーとして出場した水落雄基被告(C)朝日新聞社

「野球部の練習グラウンドの一角に建物があります。そこに専門の整体師さんに来てもらいマッサージするベッドなどが置いてある。そこに水落被告は『吸い玉治療してやろう』『マッサージするから』と言葉巧みに野球部員を呼び出していた」

 学校側は訴えを認めた水落被告に対し、今年3月に懲戒解雇処分を下した。

 福岡県出身の水落被告は高校時代から地元ではドラフトで指名されると期待されたサウスポー投手だった。福岡県の東福岡高校では1年生から活躍。2年生の夏には甲子園に出場し、水落被告の好投で初戦を突破した。水落被告と高校時代に一緒にプレーした友人はこう話す。

「左腕で速球は140kmを楽に超えるようなすごい球を投げていた。変化球も切れるし、練習試合でもプロのスカウトが偵察にくるほど有名なピッチャーでしたよ。高校3年生の秋はドラフトで指名されるかもと、学校で待機していたほどでしたよ」

 だが、ドラフトの指名はなく、水落被告は地元の福岡大学に進学。東京五輪の野球で金メダルを獲得した梅野隆太郎捕手(現・阪神選手)らと一緒にプレーしたという。

 卒業後は保健体育の教員免許も取得。いくつかの高校で講師などとして働き、2020年4月に大阪の私立A高校に常勤講師として赴任し、野球部のコーチにも就任していた。

「大学時代はあまり活躍できず、一度、野球はあきらめたとか言っていた。しかし、高校時代の仲間から誘いがあって、また始めたと聞いていた。強豪校のA高校からコーチでとオファーがあって、『指導者として甲子園にもう一度、行きたい』と嬉しそうに話していましたよ。今回の事件をニュースで見て驚きました。教え子の野球部員に対してわいせつなことをするなんて、信じられません」(前出の友人)

 問題が発覚後、学校側は水落被告を処分。被害者が大阪府警に刑事告訴したことから、逮捕に至ったという。逮捕翌日の8月19日には大阪府警がA高校の関連場所を強制捜査したという。


 
その後の捜査で逮捕容疑のA高校以外でも水落被告が同様のわいせつ行為をしていたことがわかってきた。大阪のA高校にくる前は福岡県内で甲子園出場経験があるB高校で非常勤講師として勤務。A高校幹部はこう話す。

「本人の聞き取りや、報道からもきっと以前からこのような行為をしていたと思いました。被害にあった野球部員には申し訳ない気持ちでいっぱいです。カウンセリングなどの対応にあたっている。このようなことは絶対にあってはいけないこと。水落被告には『人間失格や』と叱責しました」

 水落被告は他の学校の野球部員にも犯行を繰り返していたとみられ、事件被害はさらに拡大しそうだという。

「前の勤務先の高校を含めると被害者は最終的に50人超になりそうだ。今後、福岡県の高校なども含めて、さらなる余罪を追及していく」(捜査関係者)

 甲子園を目指す野球部員たちを傷つける、あってはならない事件を今後、どう防ぐのか。
(AERAdot.今西憲之)