【独自】大阪の100万人あたりの新規死亡者数がインドを上回る 「まるで姨捨山」とまらない医療崩壊

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菅首相と大阪府の吉村知事(C)朝日新聞社

  東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に発令中の緊急事態宣言を5月末まで延長することなどが決まったが、関西圏の医療崩壊が止まらない。

【全国都道府県別での100万人あたりの新規死亡者数一覧はこちら】

 大阪府は5月7日、新型コロナウイルスの新規感染者が1005人、死亡者は50人と発表。死亡者数は最多を更新した。

 兵庫の新規感染者は493人、京都が146人、奈良が98人、滋賀が49人、和歌山が19人で、死亡者は兵庫39人、奈良4人、滋賀3人が確認された。

「政府の会議の資料に人口100万人あたりの7日間の新規死者数のデータがあるのですが、大阪は19・6人(5月5日時点、以下同)。インドの15・5人、メキシコの16・2人、米国の14・5人より上回っており、惨状というほかありません。兵庫県も9・0人、愛媛県11・2人、和歌山県7・6人など関西は高く、東京は1・4人と意外にも低い水準です」(厚生労働省関係者)

 AERAdot.が入手したデータによると、7日間の人口100万人あたりの新規死亡者数の都道府県別のデータ(5月5日現在)は以下の通り。

【都道府県】 
順位  都道府県 人数 
1   大阪府  19.6
2   愛媛県  11.2
3   徳島県  11.0
4   兵庫県  9.0
5  和歌山県  7.6
6   石川県  6.2
7   奈良県  5.3
8   岡山県  4.8
9   北海道  4.6
10  三重県   3.9
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22   東京都   1.4

 全国の平均は3・3人で、東京は1・4人で22位と関西圏が上位を占める。

 関西圏の医療崩壊は緊急事態宣言が延長された今も進行しているという。高齢者施設でクラスターが相次いでも入院先が決まらず、院内で待機中の高齢者が相次いで死亡するなど連日、大騒ぎになっている。

 大阪府門真市の高齢者施設で4月中旬以降、入所者と職員の計61人が新型コロナウイルスに感染するクラスターが発生し、入所者13人が死亡。神戸市市長田区の介護老人保健施設でも4月中旬以降、入所者97人、職員36人の計133人が感染する大規模クラスターが発生。入所者25人が死亡した。


「死亡した高齢者の多くは入院先が決まらず、待機中に施設内で死亡しています。報道されるまで施設、行政は状況を公表せず、まるで姨捨山のような扱いです。政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は感染者数より医療体制を重視して見ています。大阪の重症病床使用率は99%と公表していますが、外形的な数字です。実際は重症患者412人に対し、重症患者用365床を大幅に上回っています。入院待機待ちの人数が約1万5千人と医療崩壊に歯止めがかかりません。大阪の吉村洋文知事が菅義偉首相に忖度し、緊急事態宣言の要請が遅れたことも響いています」(政府関係者) 

 コロナ感染者が出ている大阪府内の老人ホームの職員が惨状をこう証言する。

「うちは病院系列の高齢者ホームですが、コロナ感染者が出ても病床が逼迫し、入院できないので、老人ホームを病院代わりに使用しています。病院から先生や看護師に来てもらって治療し急きょ、ハンガーをホームセンターで買ってきて点滴をブラ下げたこともありました。防護服や手袋をして職員は検温やパルスオキシメーターを使って病状を点検するなどとんでもないことになっています。発症した高齢者の1人は入院できたが、もう1人は発熱、肺炎、中等症に近い容態だが、入院できていません。往診してもらっている先生も『これは異常な状況。治療を老人ホームでやるなんて』とあきれていました」

 介護するスタッフもコロナ患者を対応した経験がなく、悪戦苦闘しているという。

「防護服で身を固めて、コロナを発症した高齢者の体の向きを変えたり、食事、排便などの世話をすることに慣れていないので、普段の2倍以上の時間がかかる。うちの感染者は咳が止まらないので、余計に怖さがあります」(同前)

 この老人ホームも入居者のコロナ感染は公表していないという。

 尾身会長は記者会見で「今回は変異株が極めて重要な要素」と指摘し、今後の宣言の解除に当たっては「今まで以上に慎重にやる必要がある」と訴えた。解除の基準として、感染状況の指標が最も深刻なステージ4を脱すること、逼迫(ひっぱく)する医療体制の改善などを上げた。

 吉村知事は5月末までに医療崩壊をとめられるだろうか。(今西憲之 AERAdot.取材班)

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