福島の魚を堪能! カンニング竹山「風評に流されて知らなきゃ損してること」

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原発
カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。3月6日に著書『福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねえかよ!』が発売(撮影/写真部・小原雄輝)
いわき市水揚げされたウニ=2018年5月(c)朝日新聞社

 震災後、ぶらり福島旅を続けるお笑い芸人のカンニング竹山さん。今回の旅で出会ったものとは?

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 週末に福島旅行してきたんですが、今回ちょっと面白い動きを目にしました。福島はずっとエネルギーで食ってきた地域なんですが、もともとは炭鉱の街で、農業や漁業でも首都圏に出荷して栄え、エネルギーが石炭から石油や電気に変わった流れで原子力発電所を造ったわけです。そこで地震と原発事故が起きたわけだけど、いま新しい事業がスタートしているんですよね。

 日本では石炭の生産はコスパが悪くて減ったけど、国内の火力発電所なんかではまだまだ石炭を使っていて、意外と輸入量はある。そこで石炭をガスに変えて火力発電に利用するっていう新しいエネルギーが福島で始まろうとしていて、スパリゾート・ハワイアンズを運営する会社なんかも出資しているんです。津波の被害にあった地域に工場が建って、景色も変わったりしています。

 一方の農業もV字回復していて、支援のためにあえて福島の農産品を選んでいる人とか、野菜にしても米にしても1品1品検査しているから出回っているものは逆に一番安全だっていう知識を得た人も増えていますよね。でも、農家の人に聞いてみると、まだ風評被害はあるらしいんです。しかも不思議なことに、例えば、福島と北海道とか産地が少ない農作物は風評被害を受けないのに、白菜とか全国で作っているようなものだと風評被害が出るらしい。それって、何なの? きちんと検証してみたら、何の根拠もないんですよ。イメージだけで流されている人がまだいるってことですよね。

 漁業は原発から半径10キロ圏内より外で、月に何回かの試験操業が続いています。日本でも有数の漁場で8年も獲っていないんだから、まあ良い魚がいるんですよ。市民の海洋調査チーム「いわき海洋調べ隊うみラボ」の代表の小松さんによると、魚からは食べてはいけないレベルの放射性物質が出ることはほとんど無いんだそうです。これまでたくさん調査して安全が確認されている種類だけを獲っているから、放射性物質が出るかどうかの試験というより、東京の市場とかに出荷して流通させてもらえるかを試験するという意味合いが強いらしい。それって試験操業という言葉を変えたほうが良いんじゃないかと僕は思うんですよね。試されてるのは、こっち側ですから。

 今回、福島の魚を食べさせてもらいましたけど、本当にうまい。そして安い! まだあまり知られていないけど、試験操業のときには、地元だけじゃなく首都圏の市場でも流通するはずですから、実は狙い目なんですよ。

 こんなに良いものがあるなら漁業を再開したらいいじゃんって思う人もいるかと思うんですけど、もうひとつ別の難しい課題があるんですよ。漁師たちはこの8年間、東京電力からの賠償金で生活できているわけです。それに高齢化もあって、当時60才だった人が68才になり、使っていなかった船や道具のメンテナンスも必要。それに、空白の8年間が人材育成も止めてしまっていて、若手も育っていないわけです。途絶えてしまった販路も開拓しなきゃいけない。

 もらえる賠償金を自ら止めてまで、まだ売れるかわからない漁業を再開するかどうか。いまのままでは賭けですよね。いろんな考え方の人がいるから、漁の再開に反対する人もいるだろうし。船を新しくしたり人を確保したりするのに必要なお金を国が別の形で補償してあげるとか、柔軟なお金の使い方をしないと、本当の意味での復興は難しいと思う。

 それに、福島の漁業について、ほかの地域の人が意見するのが難しい状態になっているのはおかしいと僕は思うんです。それって沖縄の基地問題と同じで、触っちゃいけないものみたいになっている。沖縄の基地をどうするかと同じように、福島の漁業をどう再開するかは日本全体の問題なんですよ。

 いわき市の風景も変わってきています。新しく魚市場もできていて、いまは試験操業のときだけしか使われないから箱モノみたいに見えちゃうけど、これから賑わっていくのが楽しみですよね。近くに大きなイオンもできて、一つの新しい街ができた!という感じです。日本全国にあるイオンが被災地も同じように復興させていくって良いですよね。

 福島はいま、ビジネスチャンスがいっぱい転がっているわけです。そして新しい動きにはかなりの確率で、関西の商売人たちが絡んでいる(笑)。コストが安い場所に目を付ける嗅覚は、さすがの県民性です。

 イメージに流されて、いまの福島を知らないと損している可能性があると僕は思います。ふるさと納税とかやっているなら、大人の社会科見学に行ってみませんか。