【2】やるべきことの全体量が見えていない

 漠然とやることがいろいろあるのはわかっている。けれど「宿題、ピアノの練習、テレビ、明日の準備……」と具体的にはわかっていない。親野先生はこうアドバイスします。

「たとえば、帰宅後にやることをホワイトボードに書き出してみるといい。このように『見える化』することで、始めて子どもは自分がやるべきことが理解できるのです。最初は、やることを書き出して、マグネットなどで『まだ・終わった』がわかるようなシステムにするといいでしょう。習い事や塾などが増えてきたら、放課後の時間割を習い事のある日、塾のある日、なにもない日、などいくつかパターンに分けて時間割を作ってもいいでしょう。こつは、就寝時間は一定にして、何をいつやるかはできるだけ子どもに決めさせること。子どもが『自分で考えて決めた』と思えることが大切です」

【3】「目の前の瞬間」にしか意識を向けられない

 目の前のことに「あ、やらなきゃ」という飛びつくことの繰り返しが、子どもの時間感覚。5分先を考えて動くことさえ、子どもにとっては難題。

 宿題になかなか手がつかないのであれば、取りかかりやすいように親が宿題をテーブルに出して、ノートを開いて伏せておいてあげてもいい。そこまで親がやる必要がある?と思うかもしれませんが、これも「見える化」のひとつ。

【4】この時間で何をどのくらいできるのか、の時間感覚がない

 出かけるまで20分とわかっていても、その時間で服を決めて着替え、帽子を探して……と何ができるか、どのぐらい急ぐべきかがわからない。

 例えば、朝の支度にもどれぐらい時間がかかるかわからない……そんなときは、何にどのぐらいかかるのか、タイマーを使って親子で時間を計ってみることを提案するのは、子どもの時間管理のワークショップを開催している高取しづかさん。例えば、洗面の時間、朝ごはんの時間、着替えの時間など一度計るだけでも、「これくらい時間がかかるんだ」と時間感覚が持てるようになるといいます。

 何かと忙しい現代の小学生。親はつい「ウチの子はなんでサクサク動けないのかしら?」と嘆いてしまいますが、「子どもが時間通り動かない」「やるべきことをすぐにやらない」というのはごく当たり前の習性だということがわかります。だからこそ、親の「技」が大事になってきます。

 本書ではそんなお母さんたちの「すご技」も多数掲載。新学期、改めて子どもの時間管理を見直してみては?

AERA with Kids(アエラ ウィズ キッズ) 2016年 10 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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