【グリーバンスが生まれやすい場所とは?】
(1)宗教問題が多いところ
聖典などの教えを厳格に守ろうとし、極端になると異なる宗教や思想を否定する人を「原理主義者」という。その一部の人が社会のなかで差別や不満を感じると、武装化しやすい。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教など、さまざまな宗教問題でテロは起きているが、9・11以降は「イスラム過激派」によるテロが急増している。
▼イスラム過激派の一例
IS:イラクとシリアを拠点とし、イスラム国家の樹立が目的。アルカイダ系の組織で、さまざまなテロに関わり、日本人の拉致殺害も行った。
アルカイダ:イスラム原理主義を掲げるスンニ派(多数派)で、ビンラディンが指導者だった。現在は国際的ネットワークを築いていて本拠地は不明。
ボコ・ハラム:主にナイジェリアで活動。過激思想を受け入れないイスラム教徒も敵とみなし、学校やキリスト教の教会を襲撃するなどのテロを繰り返す。
(2)民族問題が多いところ
国としては認められていない「自治区」や、独立国家ではない一部の「共和国」などに住む少数派は、国からの分離・独立を目指して武装化しやすい。また、先進国が分割統治のために引いた国境線によって先住民族が分離されると、差別が生まれやすく、紛争やテロに発展することも多い。
▼民族や組織の一例
チェチェン独立派:ロシア南西部北カフカス地域にある「チェチェン共和国」は、ロシアからの独立を要求。これに反対するロシア軍と独立派の対立が続く。
ウイグル族:中国で少数民族とされるトルコ系遊牧民。最近は国内で彼らが多く暮らす「新疆ウイグル自治区」に移り住んできた、中国多数派の漢民族との格差に不満を持ち、独立運動が活発になっている。
クルド人:トルコやイラク、シリア、イランにまたがる、国を持たない世界最大の民族。武装勢力クルディスタン労働者党(PKK)は、トルコに対し、クルド人の自治強化を要求。
(3)先進国による介入が多いところ
石油や鉱物など、天然資源は豊富だが政治的に不安定な国は、先進国の介入で国民が分断されやすく、紛争やテロの種が尽きない。アフリカや中東の小国に多い。
【メモ】
アメリカ国防総省の公式定義では「テロ行為とは、政治的、宗教的、もしくは特定のイデオロギー(思想)に基づいた目的のために、特定の政府や社会に対して恐怖を植えつけようと、違法な暴力の使用や威嚇を行うこと」とされています。