――今回、「不登校生動画甲子園」に参加しようと思ったきっかけについて聞かせてください。また、動画にはどんな思いを込めて作られていますか?

 今年の春、中川翔子さんの「卒業式をもう一度」という不登校を経験された方たちが集まるイベントがあり、そこで多くの人と出会ったことで、「私も何かを発信したい!」という思いが芽生えたことが大きかったです。今回制作した動画は「過去の自分への手紙」という形にしました。当時の自分が“本当にかけてほしかった言葉”を、今の自分が届けるような気持ちで作っています。苦しんでいる人を無理に励ますのではなく、自分に向けた言葉が、そっと誰かに届いたらいいなと思っています。

――ご自身が“本当にかけてほしかった言葉”の中から、一つだけ教えてもらえますか。

 「不登校は武器になったよ」ですかね。あのころは、マイノリティであることが怖くて、学校に行けない自分を必死に隠していました。妹でさえ私が不登校であることを知らなかったくらい。でも、あの経験があったからこそ、見えた景色や気づけたことがたくさんあります。今は“普通”から外れていても大丈夫だと思えるけれど、当時はただただ恥ずかしかった。だからこそ、あのころの自分にこの言葉を届けたいと思っています。

――最後に、同じように不登校に悩んでいる子や苦しんでいる子に、メッセージをお願いします。

 不登校になったとき、母が「その環境で自分らしくいられないなら、やり方を変えてもいいよ」と言ってくれたことが、大きな支えになりました。実際、やり方を変えたからこそ、高校では生徒会に入ったり、短期留学に挑戦したりと、新しい世界に踏み出せたと思います。本当に苦しいときには、周りの言葉がうまく届かないこともある。だからこそ、あのころの自分に「大丈夫、ちゃんと乗り越えられたよ」と伝えたいです。

(構成/高橋亜矢子)

中学時代に完全に不登校だった息子が高校生活を満喫! きっかけとなった“意外な出来事”とは【体験記】
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