人生は「リセットできない」けれど…

――ミステリー小説には時に深刻だったり残酷だったりする場面もありますが、はやみね先生の作品には優しさがあるように感じます。登場人物もそれぞれ、よいところもあれば弱いところもあります。苦手なこともあるけれど、いい面も悪い面も含めて、「自分らしくいればいい」と言うことが伝わってくる気がします。

 やっぱり、小説は救いがないといけません。せっかく読んでくれたのに、暗い気持ちになってしまったらかわいそうだし、書き手としても嫌だから。読んでもらった後、どこか救われるような気持ちになる話を、子どもたちに届けたいと思っています。

――最後に、本を読んでくれる子ども達にメッセージをお願いします。

「リセット」をテーマにした小説を書きましたが、これはあくまで「物語」だと言うことを忘れないでほしいと思います。人生を「リセット」するなんてことはできません。「リセットルーム」なんてないんです。それを自分でちゃんと読み取ってほしいなと思います。

 もちろん、「こんなふうになったらいいな」「あの時に戻りたいな」と思う気持ちは誰にだってあります。でも、それはただボタンを押して「リセット」できるわけじゃなく、どうしたらもっとよくなるか、自分で考えて折り合いをつけていくことが大切なんです。

 僕も、つらいことがあっても、何があっても、「今が一番楽しい」と意地を張って生きてやろうと思っています。それくらい強い気持ちを持って、過ごしていたら、「リセット」しなくても、何回でも新しく「リスタート」することができます。そして「人生は楽しい」って思っていてくださいね!

(取材・文/玉居子泰子)

【後編も読む】「あのときをもう一度やり直せたら…」これまでの人生で“リセット”したい瞬間を、大人と子どもに聞いてみた
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玉居子泰子
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