SNSでの人間関係については僕はよくわからないし、怖いと感じるからこそ、自分ではあまり使わないようにしています。ただ、何かしら「リセットしたい」という気持ちを持つことは、大人も含め、誰にでもあることで、今の子どもたちに限った感情ではないんじゃないかな、と思います。誰だって一つくらい「あの時、ああしていればよかった……!」という後悔の気持ちはあるでしょう?
僕自身も、振り返れば「やり直したい」「リセットしたい」と思ったことがあるし、家族や自分の子どもたちをみていても、そうだろうと思います。今の中学生もきっと同じですよ。どんなに理想の人生を送っているような人でも、後悔がないなんておかしい。誰にでも共通する気持ちだからこそ、「リセット」という言葉を今回の作品のテーマにしました。
――「ルーム」シリーズでは、登場人物がぬいぐるみの姿をしています。ぬいぐるみを使ったミステリーにした理由はなんですか?
「変身願望」は、多くの人たちの心にあると思うからです。昔から、狼男やシンデレラなど、自分とは違う人間になりたいという物語が描かれてきました。お化粧をするのも一つの変身願望ですよね。
それに、ぬいぐるみを使えば、人間では仕掛けられないようなトリックも使えるし、何より可愛い(笑)。はらわたが飛び出るような殺人シーンでも残酷にならないし、綿毛が飛び出るだけ。根本的には「可愛らしいから、ええんちゃう?」というノリでした(笑)。あくまでフィクションとして、楽しんで読んでもらえたらと思っています。
今と昔の小学生、変わったところと変わっていないところは?
――はやみね先生は長年、小学校の先生をされていらっしゃいました。当時の教え子たちと、今の子どもたちとで異なる部分はあると感じますか?
子どもたちは面白いものが大好きで、好奇心いっぱいの存在。本質的なところは、昔も今も変わっていないと思いますよ。でもやっぱり、インターネットだとかゲームだとか、SNSだとかの影響があって、遊びや興味関心の対象が昔とは変わってきたとは思います。
それが、いいとか悪いとかは言えませんが、僕が一つ感じるのは、「今の子たちは、走るのが遅いなぁ」ってこと(苦笑)。僕たちが子どもの頃はもちろん、僕が教師をしていた10〜20年くらい前までは、みんな外で棒を持って走り回って、遊んでいましたからね。でも、ゲームやネットが子どもの世界にも広まって、家の中で遊んで外遊びをしなくなると、どうしても変わっていきますよね。
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