わが子が加害者になったとき
――わが子が「いじめを見た」と言った場合には?
その場合も同じです。「話してくれてありがとう」と伝え、わが子が見た事実と、そのときの気持ちをきちんと聞き、学校に報告しましょう。
――第三者を通じて、自分の子どもが「いじめをしている」と言われた場合はどうですか? かなりショックを受けてしまいそうですが……。
そうですね。親は子どもの「ふざけて遊んでいただけ」「悪気はなかった」という言葉を信じたくなりますが、それは本当の意味でわが子を守ることにはつながりません。子どものうちにシンキング・エラーを正すことこそ、将来的にその子を守ることになるのです。
事実をきちんと聞き取って、それを学校に報告することが大切です。
そしていじめられた子のつらい気持ちが理解できるよう、丁寧に共感性を育てていく必要があります。
そのためにも、親子関係はとても重要です。親に尊重されて育ってきた子は、まわりの人のことを尊重することができます。それがいじめをなくす、最初の一歩なのではないでしょうか。
「親はいつでも味方だよ」を伝えるために
――わが子がいじめられたとき、相談してもらえる親であるために、できることは何ですか?
普段から子どもに「どんなときでも私はあなたの味方だよ。全力で守るよ」と伝え続けてください。そして実際に実行してください。言うだけ言って、実際にはあまり実行していない親御さんは多いんです。
――それはどういうことですか? 「何があっても守る」は本心だと思うのですが。
そうですね。でもそれは、いじめなどの「重大な何か」が起きたときのこと。
例えば、「〇〇ちゃんが消しゴムを返してくれない」などという些細なトラブルを打ち明けられたとき、多くの保護者は「そのくらい自分で解決しなさい」と言ってしまうと思います。
親は、もっと大変なことが起きたら絶対助けるつもりで、些細なことは自分で解決させようとすると思うんです。でも、問題は子どもには何が重大な事態で、何が些細なトラブルなのか区別がつかないということなのです。だから中には、何度か軽くあしらわれているうちに「言ってもムダだ」と思ってしまう場合があるのです。
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