ところが、東京は幼稚園や小学校の受験をする人も多い。完全に未知の世界でした。そこで「せっかく挑戦できるなら、やってみよう!」という気持ちで小学校受験を考えたのです。

 とはいえ、何からはじめていいかわからないので、詳しそうなママ友にリサーチしたところ、あれよあれよという間に話が進んで、某有名小学校に強いお受験塾を紹介されました。体験を申し込もうと電話をすると「残りあとひと枠です」なんて言われてしまったので「入ります!」と即決(笑)。そして、当時年中だった娘を、いきなり塾に連れて行きました。

  しかし、初日の2時間を終えたあとで、娘は「もう二度と行かない!」ときっぱり言い放ちました(笑)。私もうしろから見ていたのですが、協調性や規律を重んじる教室の雰囲気が、自由人の娘には明らかに向かない。やる気を失ってだるそうにしているのを先生に何度も注意されていて、早々にこりゃダメだと悟りました。

 そういう私も、まわりのママたちが一生懸命にメモを取っている中で「これを毎回やらなきゃいけないの?」と面倒くさくなってしまい、熱心なお受験塾の空気に全くなじめなかったので「ママも行きたくない!」と娘に同意して、初日にギブアップしました。

 ――でも、初日でやめるにはかなり勇気が必要だったのでは……。

 そうですね。「こんなにすぐ放り投げていいのかな……」と葛藤はありました。でも、これを続けたらストレスで親子ともに壊れる、と確信して。実は先に授業料2カ月分を納めていたのですが(笑)、心の中で「お金が無駄になる」ことと「無理してストレスに耐える」ことを天秤(てんびん)にかけたとき、この年齢の大切な時期を苦しんで過ごしたくないと思いました。

 合わない環境を乗り越えてでもその学校に入りたいのなら頑張れるのかもしれませんが、うちの場合はその熱量もなかったので。そもそも自分自身がそんな経験をしたことがないから、塾をやめさせることに抵抗はありませんでした。

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