2020年に学習指導要領の改訂があり、今は小学校高学年で背浮きを習うことになっています。早いところは小学1年生から習う学校も。着衣泳だとなおよいですね。靴を履いているだけで浮きますし、ランドセルも浮きの代わりになるんですよ。洋服も、服の間に空気がたまり浮力の代わりになるので脱がないほうがよいです。

――プールでどのように練習したらよいですか?

 靴を履いて通常のプールに入ることは難しいと思うので、ビート板を足先に挟み、靴を履いていると仮定して練習してみることをおすすめします。体を仰向けにして手をひろげ力を抜き、プカプカと浮いていられるかどうかやってみてください。背浮きのコツは空気をたくさん吸って自然体でいること、あごは上げ気味にすると足が浮きやすくなって安定します。

プールでの背浮きの練習の様子(一般社団法人 水難学会理事の斎藤秀俊さん提供)

 溺れたときに大声を出したり無理に泳いだりすると、沈んだり体力を消耗したりしてしまいます。

――溺れている子どもを救助しようとした大人が亡くなるニュースも後をたちません。

 水難救助とは恐ろしい世界で、通常の心情ではいられないのです。「人を助けるぞ」と思うと、自分が溺れそうになっても体力が少なくなっても「浮いて待っていよう」という心情になれない。「陸まで泳いで連れていく」と考えてしまうのです。救助に入った人も溺れた当人も、まずは浮いて救急隊の到着を待つことが何より大事です。

「もしもの時は、浮いて待て」を、徹底してほしいです。

(取材・文/永野原梨香)

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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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